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2007年01月24日(水) 20時51分

大阪市、150万円支払い和解 シックスクール訴訟朝日新聞

 大阪市が学校の建材などに含まれる化学物質で体調を崩す「シックスクール」問題への対策を怠ったために通学できなかったとして、同市立の小中学校に通っていた高校生の入江茂弘さん(18)=同市東淀川区=が、市を相手に1000万円の損害賠償を求めた訴訟の和解が24日、大阪地裁(平林慶一裁判長)で成立した。市が和解金150万円を支払うほか、シックスクールを含むシックハウス問題について教職員が理解を深めるよう努める、との文言が和解条項に盛り込まれた。

 シックスクールをめぐっては、堺市堺区の私立保育園に通園して化学物質で体調を崩した子ども30人が19日、開園を許可した堺市、園舎を建設した会社とそれぞれ同地裁堺支部で和解している。

 入江さんは97年、トルエンなどの化学物質を含む材料が使われた同区の小学校でのエレベーター工事をきっかけに、化学物質過敏症を発症。同小とその後に通った中学校に対策を求めたが実施されず、授業をほとんど受けられずに03年春に卒業した。

 和解条項には和解金支払いに加え、過敏症についての理解が不十分で原告に不信感を抱かせたことに市が遺憾の意を表す▽シックスクール問題について教職員の研鑽(けんさん)に努める——との文言が明記された。平林裁判長が和解を提案した。

 和解成立後、入江さんの父利之さん(47)が大阪市北区で記者会見し、「対策を約束したからには、市は二度と同じ被害を出さないようにしてほしい」と語った。

 沼守誠也・大阪市教委初等教育課長の話 早期解決を目指して和解を受け入れた。

http://www.asahi.com/national/update/0124/OSK200701240060.html