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2007年01月24日(水) 00時00分

収賄「自白強要された」 福島前知事、無罪主張へ河北新報

 福島県発注のダム工事をめぐる汚職事件で、収賄罪で起訴された前知事佐藤栄佐久被告(67)が保釈後、「自白は検察官に強要された。わいろとされた土地取引は、あったことさえ知らなかった」と話していることが、関係者の話で分かった。栄佐久被告側は検察側立証の大半に異を唱える方針で、3月にも東京地裁で始まる審理は、検察と弁護側の全面対決となる見通しとなった。

 捜査段階で「土地取引の経緯を報告し、兄もわいろと認識していた」と自白した実弟の祐二被告(63)=収賄罪などで起訴=も無罪を主張する方針。保釈後は「供述を強要された。ダム工事の入札で天の声を出して本命業者を決めたことはない」と話しているという。

 関係者によると、捜査段階で収賄容疑を認めた栄佐久被告は保釈後、「検察官から『認めなければ、知事選の選挙違反で支持者を根こそぎ逮捕する』と脅され、罪を認めた」と明かした。わいろとされたファミリー企業社有地の高値売却や工事入札での便宜供与については「弟から何の報告も受けておらず、入札にも一切かかわっていない」と語っているという。

 栄佐久被告側は公判で「自白に任意性はない」とし、土地取引についても(1)売買双方に利益が出ており、正当な商取引(2)売却益を得たのは法人で、職務権限者(知事)への利益供与はなかった—などの点を挙げ、収賄罪は成立しないと主張する。

 検察側立証の支えとなっている贈賄側業者や元県土木部長の証言も「起訴されないのを前提に引き出された供述で信用性、任意性はない」として調書を証拠採用しないよう求める。

 栄佐久、祐二両被告は2000年8月に実施された木戸ダム(楢葉町)本体工事の入札で、前田建設工業(東京)を中心とする共同企業体(JV)の落札に便宜を図った謝礼などとして、02年8—9月、祐二被告経営の郡山三東スーツ(本宮市)が郡山市に所有する土地を、前田JVの下請けの水谷建設(三重県)に高値で買い取らせ、利益を得たとして起訴された。

http://www.kahoku.co.jp/news/2007/01/20070125t63035.htm