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2007年01月24日(水) 00時00分

社長が埼玉工場視察 『従業員に衛生の徹底を』 東京新聞

 不二家の桜井康文社長は二十四日午前、一連の不祥事を受けて就任して以来初めて、ずさんな管理が問題となった埼玉県新座市の同社埼玉工場を視察した。同十一時半から約一時間にわたって、工場内を視察した同社長は、出勤している全従業員を集めて、「これを勉強の期間として品質管理に取り組んでほしい」と訓示。視察の後、「稼働していない工場は血の通っていない人間と同じで、寂しく残念だ」と語った。

 稼働再開の時期について問われると、「世間から不二家がこれでいいと言われるまでは稼働できない」と話した。

 同工場では期限切れの原料使用や、商品に付ける消費期限を延長表示するなどの不適切な製造があったことが分かり、操業休止中。

 同社長は午後には、東京都板橋区内のフランチャイズ店も視察する。

■不二家不祥事隠れみのに? 食品各社「期限切れ」

 不二家の期限切れ原料使用問題が発覚して以降、食品会社が次々と、期限切れの商品販売や異物混入を自主的に公表している。各社は不二家問題と公表の関連を否定するが、食の安全にかかわる専門家からは「みんな一緒なら怖くない、今なら目立たないということで発表しているようにみえる」との声も上がっている。

 問題発覚後の十三日、ローソンは十九都道県で販売したすしに付けたしょうゆが賞味期限を一日過ぎていたと公表した。「十二日に従業員が気付き全店を調べた。問題があれば以前から公表している」(広報)という。

 二十日に異物混入のペットボトル計約十三万四千本の自主回収を公表したのはコカ・コーラグループ。スターバックスコーヒージャパンも二十二日、冷蔵保管していなかった消費期限切れのチョコレートケーキ二個を販売したと発表。両社とも「公表と不二家問題は関係ない」と説明する。

 このほかにも東京ディズニーランド内のレストランで期限切れチーズを使用▽菓子メーカー「おたべ」が期限切れ原料でチョコレートなどを製造し、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで販売▽マーガリン「ラーマ」に金属片▽JR東日本の関連会社が期限切れとんかつソースを使用−などが相次いで公表された。

 余波は自治体にも及んだ。横浜市は十九日、同市金沢区の診療所で女児に使用期限切れの点滴剤を投与した、と発表。投与は今月三日で、すぐに家族が気付き点滴剤は交換されたが、その後の不二家報道で不安を感じた母親が市に電話、市も問題を把握、公表した。市医療政策課は「不二家の問題がなくても公表した」としている。

 「食の安全・監視市民委員会」代表の神山美智子弁護士は「次々に出てきて驚いた。不二家社長の辞任劇を目の当たりにした企業などが、組織防衛のために『うちはどうだ』と調べてみて判明したケースが多いのでは」と話している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070124/eve_____sya_____003.shtml