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2007年01月23日(火) 11時20分

連続放火の元NHK記者に懲役7年実刑判決 大津地裁朝日新聞

 大津市や大阪府岸和田市で05年4〜6月、放火や放火未遂を繰り返したとして、現住建造物等放火などの罪に問われた元NHK大津放送局記者の笠松裕史被告(25)=懲戒免職=に対する判決公判が23日、大津地裁であった。長井秀典裁判長は「深夜に住宅密集地で放火した犯行は執拗(しつよう)で危険極まりない」とする一方で、笠松被告が犯行当時、重度の躁(そう)状態で心神耗弱状態だったとして、懲役7年(求刑懲役12年)を言い渡した。

 判決によると、笠松被告は04年春にNHKに入局後、先輩記者らから厳しい指導を受け、うつ病だと感じて05年4月に精神科診療所で受診。実際は躁状態だったのに重度のうつ病と誤解し、記者としての将来を悲観した。判決は、笠松被告が重度の躁状態だったとする精神鑑定を支持し、犯行当時は心神耗弱状態だったと判断。しかし、犯行当時の記憶は正確で善悪の判断はできたとし、動機については「衝動的に放火に及び、気が紛れたことから連続放火に及んだ」と結論づけた。

 判決によると、笠松被告は05年5月15日未明、大津市で民家に火をつけて全焼させるなど、同年4〜5月に同市内で計7件の放火と放火未遂を繰り返し、同年6月5日にも岸和田市の建築中の民家に放火しようとした。

 裁判で、弁護側は、笠松被告が犯行当時、自分の行動を抑制できなかったと主張し、犯行当時は心神喪失か心神耗弱状態だったとして、無罪か減刑を求めていた。

 一方の検察側は「先輩記者らからの叱責(しっせき)に大きなストレスを感じ、気を紛らわせようとして放火した」と指摘していた。

http://www.asahi.com/national/update/0123/OSK200701230005.html