中山さんは、合志市の国立ハンセン病療養所「菊池恵楓(けいふう)園」の近くで生まれ育った。これまでハンセン病患者を親に持つ子どもらへの差別を取り上げた映画「あつい壁」を手がけている。
ハンセン病を巡っては、1996年4月にらい予防法が廃止、2001年5月には熊本地裁で隔離政策の誤りを認める判決が出た。しかし、03年には南小国町のホテルで菊池恵楓園入所者らの宿泊を拒否する事件が起き、中山さんは「差別はなくならず、新たに生まれている」と、再びハンセン病をテーマにメガホンを取った。
映画は、フリーのルポライターが、半世紀前の殺人事件を取材するうち、取り調べや裁判、そして社会に、ハンセン病への差別や偏見が満ちていた事実に突き当たるというストーリー。
1952年に県内で起きた殺人事件などで患者とされた男性が逮捕され、実質非公開の裁判の末に62年に死刑を執行されたという実話を題材にしている。
この日はスタッフや俳優ら約30人が現場入り。同市の古民家で、弁護士役の俳優が、男性をかくまっていた親類宅を訪ねる場面などを撮影した。今後、菊池恵楓園などで撮影を行い、同園入所者も出演する。映画は3月下旬に完成、6月ごろから全国で上映される見通し。問い合わせは「新あつい壁」事務局(096・381・1214)へ。