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2007年01月20日(土) 17時10分

資金洗浄疑惑、50業種に通報義務 法案3月成立めざす朝日新聞

 犯罪組織のマネーロンダリング(資金洗浄)などを防ぐ社会の「門番役」として、弁護士らに「疑わしい取引」の届け出を義務づける「ゲートキーパー(門番)法案」(犯罪収益移転防止法案)について、政府が年度内の成立を目指す「日切れ扱い法案」として2月上旬に提出し、3月中のスピード成立を図る構えでいることがわかった。門番役になる業種は、50以上にのぼる見込みだ。

 「日切れ法案」や「日切れ扱い法案」は、予算措置を伴い、年度初めから予算執行しなければ国民の生活に支障が出る緊急性がある法案が主な対象。ほかの法案に優先して審議に入り、長く審議をしないまま「特急」で処理されるのが通例だ。「刑事弁護などで鋭い緊張関係に立つ警察への密告を強制される」などとして弁護士会が反対を強める中で、与野党の意見が割れる「対立法案」が対象になるのは珍しい。

 今回の法案では、関連経費が07年度の警察庁予算に計上されていることが「日切れ扱い法案」にした理由にあがっているが、「おざなりな審議で通してしまおうという意図を感じる」とする声が出ている。

 野党側は「これほど露骨な日切れ扱い法案が出るのは最近例がない」として、議院運営委員会で法案の扱いを問題視する構えを見せている。

 また、警察庁の作った骨子によると、門番役になる業種は、弁護士や司法書士、行政書士、宅地建物取引業者、クレジットカード業者など当初案で対象だった事業者のほかに、「郵便物受取業者」「電話受け付けサービス業者」が新たに加わった。新たな業種は「バーチャルオフィス」として実体のない会社の受付業を代行したり、振り込め詐欺に利用されたりした実態があるためだという。

 弁護士については、日弁連と協議の末、最初に弁護士が日弁連に通知し、日弁連が守秘義務との関係を判断して警察庁に通知するという2段階構造にしたが、日弁連は「依頼者は弁護士に秘密を言えなくなり、弁護士活動の根幹を揺るがす」として、強い反対姿勢を崩していない。

http://www.asahi.com/politics/update/0120/005.html