記事登録
2007年01月18日(木) 00時00分

“トリ”越し苦労…名物チキン南蛮、飛ぶように売れZAKZAK

 「事件発覚時は、うちの『チキン南蛮』も敬遠されるのではないかと不安だったが、むしろ売り上げは伸びている」と意外な展開に胸をなで下ろすのは、宮崎県のレストランチェーン「おぐら」の大瀬店店長。騒動以前、同店のメーンメニューの「チキン南蛮」は、日に120食が平均だった。ところが、騒動発覚後、オーダーが相次ぎ、12日からの3日間は1日140食近く売り上げたという。

 また、同じく「チキン南蛮」が評判の日向市の「レストラン日向灘」の店長代理も、「鹿児島産の鶏を使用しているのもあるが、騒動の影響はまったくない」と喜ぶ。


鳥インフルエンザ禍(上)でも、県民性?にも後押しされて健闘するチキン南蛮。本当にうめーちゃが

 確かに、病原体を持った鶏の肉や卵を食べた人間が感染した報告事例はなく、加熱された加工品なら安心だ。しかし、頭では理解しても、鶏肉製品は控えてしまいそうなもの。事実、平成16年、山口県などで発覚した際の風評被害は深刻だった。「食肉や鶏卵はおろか、加工品の消費量もがくんと減った。騒動発覚から1カ月で1160件もの問い合わせが殺到し、消費者は非常に敏感になっていた」(山口県畜産推進課担当者)

 もっとも、今回はそんな教訓が生かされた。宮崎県農林水産部畜産課担当者も「防疫体制は徹底していた。昨年末にもこうした事態に備える会議を行い、職員の危機意識は高かった」と話す。鶏の異変を察知した業者や事件発生後の行政の対応も迅速で、「すぐに鶏ほか、病原体を持つ恐れのある物品などの移動を制限し、15日には感染した約1万2000羽の焼却処分も始めた」という。

 その一方、「テレビやラジオの県政番組で安全性を告知している。新聞各紙にも載せる予定」(同)と風評被害の対策も万全だ。東京都中央卸売市場でも、モモ肉がキロ670円前後、ムネ肉キロ約230円前後、鶏卵もMサイズ約145円前後での取り引きが続き、事件前後で大きな乱れはない。

 これを後押しするのが、「ヨダキィ(面倒臭い、億劫だ)」という方言で象徴される宮崎の県民性だ。『県民性は7392通り!』などの著書がある県民性研究者の第一人者、矢野新一氏は、「宮崎県民は、大らかでのんびり屋が多く、人柄も温かい。『チキン南蛮』も、むしろ品薄になる前に食べておこうというぐらいのおっとりした気質がある」という。

 また、県民1人当たりパチンコ台数全国一を誇る同県のギャンブル精神を例に挙げ、「考え方がギャンブル的で、不運に見舞われてもそれはそれでしょうがないという割り切ったところがある」と分析する。

 ちなみに山口県民は、「保守的な性格の持ち主が多く、とりわけ女性は、流行に敏感で堅実かつ慎重」(同)という。

 ヨダキィ精神でぜひともこの危機を乗り切って欲しいものだ。 

ZAKZAK 2007/01/18

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_01/t2007011824.html