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2007年01月17日(水) 00時00分

快楽のためのセックスは恥読売新聞

 40代会社員。結婚5年目、妻は30代です。夫婦二人暮らしで、笑いの絶えない毎日ですが、性に関する考えが違って、困っています。私は「快楽のためにするのは恥ずかしいことで、子孫を残すのが目的」と考えていますが、妻に話してもわかってもらえません。

 結婚当初は、妻の求めに応じ数回関係を持ちました。しかし、その後も要求が続くので、「晩婚なのに色気づくのははしたない」「妻には清楚(せいそ)でいてほしい」「女を感じないからその気になれない」と言いました。

 以来妻は、私の横に座ることもなく、寝室も別となりました。日常生活は普通に続いています。

 私はそろそろ子どもが欲しいと思っています。しかし、先日妻に伝えると、「今更あなたの子どもを作る気がしない」と言われ、ショックでした。

 私は「本来の動物の営み」で家族を作りたいのです。両親も初孫を望んでいるので妻を説得したいのですが、いい方法はないでしょうか。(東京・R男)

 自分の主張をする前に、あなたの考え方と言葉に、相手がどれほど傷ついたかを考えてみる必要があります。「色気づくのははしたない」「妻には清楚でいてほしい」「女を感じないからその気になれない」。このような言葉は、男女の仲では別れ話の時に言うことです。こんなことを言われたら妻は傷つきます。

 「本来の動物の営み」とは何でしょう。人間以外の生物が性に快楽を感じていないとは、絶対に言い切ることはできません。夫婦の生活は、性も含めてのことです。性の快楽が「恥ずかしい」ことで嫌悪することなら、命は子孫へと続いていかないと思います。それなら愛も嫌悪すべきことになってしまいます。

 「はしたない」と言われ、初めにショックを受けて傷ついたのは奥さんの方です。奥さんはあなたをもう愛していないのかもしれません。愛が子どもを作るのだということを、あなたは考えてみて下さい。「あなたの子どもを作る気がしない」と妻に言わせないためには、あなたは自分の考えを改める必要があります。

 (立松 和平・作 家)

http://www.yomiuri.co.jp/jinsei/danjo/20070117sy31.htm