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2007年01月17日(水) 00時00分

水ガブ飲み注意…Wiiほしさに「トイレ我慢」で死亡ZAKZAK

「体重が10%以上増えると危険」

 人はオシッコをせず、どれだけ水が飲めるのか? 米国で先週、そんな「ガマン比べ」に参加した28歳の主婦が、帰宅後に激しい頭痛を訴えて急死した。死因は「水中毒」。あまり身近では聞き慣れないが、水の飲みすぎで本当に死ぬのか?

 亡くなったのは、米カリフォルニア州のサクラメントに住む主婦のジェニファー・ストレンジさん(28、写真、AP)。12日に地元ラジオ局が開催した「Hold Your Wee for a Wii」(Wiiのためオシッコをガマンせよ)というコンテストに参加した。競技は8オンス(約224グラム)のボトルに入った水を15分置きに飲み、トイレに行かず最も多く飲んだ人が優勝。賞品は任天堂の「Wii」だった。

 主婦は3児の母で、「とにかく子供のために勝ちたい」と水を飲み続けて、結局、どれだけ水を飲んだのかは不明なのだが、帰宅後に頭痛を訴え急死。地元警察が解剖して、水の飲み過ぎによる「水中毒」が死因と断定した。

 北海道医師会副会長を務める長瀬内科医院の長瀬清医院長は「水を飲み過ぎると血液中のナトリウムなど電解質の濃度が薄められる。その度合いが過ぎると細胞が水ぶくれとなり、倦怠(けんたい)感が出たり、せん妄(意識障害)、痙攣(けいれん)、昏睡(こんすい)といった症状が出て死亡するケースもある」と語る。

 一方、水中毒は病気と関係が深い。統合失調症などで水を大量に飲み続ける患者がおり、ある精神科医は「体重が10%以上増えるほど水を飲むと非常に危険。こちらでは普通4−5%増えると危ないと注意をしている」と打ち明ける。また、尿崩症という大量に尿が出る病気があり、水分を水だけで補給していると水中毒になる危険もあるというが、いずれも特殊な状況だ。

 ただ、一般人にも意外に身近なところに危険はある。海外で水中毒の研究が盛んなのはマラソンなど長時間に渡って発汗を続けるスポーツ医学の現場。米国のボストンマラソンでは過去に一度のレースで7人の水中毒患者が出た事例があるという。

 運動中は水分補給のため「水を飲め」と言われるが、汗で水分と電解質も体外に排出されている状況では、水だけを飲み過ぎると、血液中のナトリウム濃度が急速に薄くなり水中毒になりやすい。マラソンでは、給水ポイントで喉も渇いていないのに無理に水を補給し続ける人などが危ないというのだ。

 ただ、それも海外での事例。びわこ成蹊スポーツ大学の高橋正行教授によれば「日本は高温多湿で汗をかきにくいことと、水ではなくナトリウムを含んだスポーツドリンクなどを飲めと指導されているため、マラソンで水中毒になったという症例は報告されていないと思う」という。いずれにせよ、普通は飲みたくもない水を飲まなければ、水で死ぬことなどなさそうだ。

ZAKZAK 2007/01/17

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_01/t2007011710.html