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2007年01月16日(火) 00時00分

不二家社長が辞任表明 『社の体質に重大問題』 期限切れ原料問題を受け、会見で頭を下げる不二家の藤井林太郎社長=15日夜、東京都中央区銀座の不二家本社で(池田千恵子撮影) 東京新聞

 大手菓子メーカー「不二家」の藤井林太郎社長(64)は十五日、洋菓子製造で消費期限切れの牛乳などを使用していた問題の経営責任を取り、辞任する考えを表明した。都内の本社での記者会見で、藤井社長は「会社の体質そのものに重大な問題があった」と述べ、三カ月をめどに新体制に移行する考えを示した。これまで「従業員個人の責任」としていた説明と異なっており、会社ぐるみによる不正関与の可能性が出てきた。 

 さらに、不正使用が発覚した埼玉工場(埼玉県新座市)で、これまで公表したもののほかに、一九九九−二〇〇六年の七年間に消費期限や賞味期限の切れた原料を使った例が十八件あったことも新たに判明した。このうち消費期限切れの原料を使ったケースは十五件で、内訳は九件が牛乳や生クリームの乳製品、六件は卵類。この十五件のうち二件は、上司の指示により使用していた。残る三件は賞味期限切れ原料の使用で、ブルーベリージャムなどだった。

 埼玉工場では、二〇〇四年六月から昨年十月まで、プリンとシュークリーム製造で、消費期限を社内基準より一日長く偽って表示する事態が頻発していたことも公表。藤井社長は「現場担当者から工場長までが容認していた」と説明し、「組織的と受け取られかねない」と述べた。

 また、札幌工場で昨年五月中旬から七月下旬に製造した洋生菓子でも国の細菌検査基準を超えるものが六件あったことを確認。出荷後に事実が判明したが、回収していなかった。野木(栃木)、泉佐野(大阪)、九州(佐賀)の三工場に加え、関係会社の山梨、山形工場も速やかに調査するという。

■大手のスーパー製品撤去の動き

 不二家の二度目の会見で新たな問題が明らかにされたことを受け、大手スーパーの一部では十五日、チョコレートやキャンデーといった不二家の一般菓子を店頭から一時撤去する動きが出始めた。

 「ジャスコ」や「マックスバリュ」など約三千店舗を展開する「イオングループ」は「新たな不誠実な行為が判明したため、当分販売を見合わせる」(イオンコーポレートコミュニケーション部)として、同日夕方から各店舗で店頭からの不二家製品の引き揚げを始めた。

 「イトーヨーカドー」やコンビニエンスストア「セブン−イレブン」など約一万二千店を抱える「セブン&アイホールディングス」も同日夕、売り場から不二家製品の一時撤去を決定した。同ホールディングス広報センターは「信頼関係が損なわれた。不二家の全工場の臨時審査を見守りたい」としている。

 ただ両グループとも返品はせず、各店舗内で保管するという。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070116/mng_____sya_____007.shtml