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2007年01月16日(火) 14時00分

1月16日付・よみうり寸評読売新聞

 裁判員として「裁判に参加したい」人は20%に過ぎないが、「参加したくない」人は75%に上った。「裁判員制度」に関する本紙の全国世論調査の結果だ◆2009年の制度開始が近付いてきたが、いささか心もとない数字である。しかも、同じ質問をした2004年の調査よりも「参加したい」は6ポイント減り、「参加したくない」は逆に6ポイント増えた◆参加したくない理由の上位は「有罪・無罪を的確に判断する自信がない」「人を裁くことに抵抗を感じる」などだった。長くお上の裁判だったからだろう◆「日本人は決められた規範は比較的よく守る。しかし新しい規範を設定することは、どちらかというと不得手だ。一度決められた規範は、容易に変えようとしない」(矢口洪一元最高裁長官)◆が、この制度の導入で日本の刑事裁判が「良くなる」と思う人が53%で過半数を占めた。ならば、参加することへの自信のなさや抵抗感をもう少し楽に考えたらどうか◆自分が主役で裁くというよりは、プロの裁判官に常識的な助言をするくらいの気持ちでいいのではないか。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070116ig05.htm