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2007年01月16日(火) 00時00分

三菱ふそう近く再回収 新型ハブ問題 国交省、整備実態から判断 東京新聞

 三菱ふそうトラック・バスが「強度十分」としてきた大型車の車軸部品の新型「ハブ」が破断し車輪が脱落した問題で、国土交通省と同社は、同部品を使用した二十五トン車を中心にリコール(無料の回収・修理)が必要との判断を固めた。対象車種などを詰め、近く公表する。強度不足による破断で車輪が脱落、死傷事故を起こした旧型ハブの対策品とされた新型ハブだが、一部車種で異例の再リコールになる見込みだ。

 ハブは車軸と車輪をつなぐ金属部品。横浜市で二〇〇二年、ハブ破断で脱落した車輪に直撃された母子三人の死傷事故を受け、同社は〇四年に旧型ハブのリコールを届けた。

 新型ハブの強度は旧型の一・二倍以上。同ハブは亀裂・破断の原因となる(1)ハブとホイールボルトの締めすぎが基準の約一・七倍(2)ハブの摩耗量が〇・八ミリ(交換基準)(3)常時一・二倍の過積載−の悪条件下で、百万キロ走行しても亀裂が入らない設計強度という。

 ところが、鹿児島県で昨年十月、走行距離が百万キロ未満の二十五トントラックの新型ハブが破断し、車輪が脱落するトラブルが発生。

 同社は同じ二十五トン車約百二十台を抽出して使用実態を調べた結果、百五台(88%)が二倍以上の締めすぎで、うち約四十台(34%)は測定機の限界値(三・六倍)を超す計測不能の締めすぎだった。

 また約五十台は、新品ハブとの交換基準の摩耗量を上回り、最大で一・七ミリも摩耗していた。過去一年以内に受けた車検で摩耗量が見逃されたらしい。前回の車検場所は、同社系列販売店と、他社系などその他の整備場がほぼ半々だった。

 リコールは設計・製造に起因する欠陥が対象で、整備不良が原因のトラブルは本来対象外。同社は強度不足と整備不良の両面から新型ハブの破断・亀裂原因を調査中だが、国交省は「今回の社内調査で分かったハブの極度の締めすぎやずさんな整備実態が、新型ハブの設計・製造時に反映されていない」として、リコールによる安全確保が不可避と判断。同社にリコールを指導し、同社も応じる見通しになった。

 リコール対象は六台の新型ハブに亀裂が見つかった二十五トン車を中心に数万台に上る予定で、新型ハブの十倍の強度があるとされる最新型ハブを装着する新型車などは対象から外れるという。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070116/eve_____sya_____000.shtml