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2007年01月15日(月) 13時49分

1月15日付・よみうり寸評読売新聞

 「ツケの大きさはだいたい、予兆や事実を無視したり、隠したりして、得をしたつもりになっている金額の300倍くらいになる」◆「失敗を隠そうというときは、発覚したら、多大なツケを払わなければならないことを覚悟しておかなければならない」ということ。〈失敗学の法則〉(畑村洋太郎)でも基本的なことの一つだ◆大手菓子メーカー「不二家」はシュークリームに消費期限切れの牛乳を使ったことなど一連の不祥事を報道で発覚するまで公表しなかった。「発覚すれば雪印乳業の二の舞になる」と思ったようだ◆が、隠ぺいの後に発覚すれば、ツケはさらに大きくなるという失敗学の法則を甘く見た。〈過ちてはすなわち改むるにはばかることなかれ〉はだれもが知っている◆が、自分のこととなると、とかくためらい、ぐずぐずしがちなものらしい。不二家は雪印の二の舞をおそれながら二の舞についての認識が甘かったということだ。「これくらい隠しても大丈夫」は悪魔のささやきだ◆それに耳を貸さぬこと。論語も失敗学の法則もそれを教えている。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070115ig05.htm