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2007年01月15日(月) 01時28分

1月15日付・読売社説(2)読売新聞

 [レジ袋有料化」「過剰包装全体を見直す機会に」

 買い物袋を持参するか、お金を払ってレジ袋を受け取るか。スーパーなどで買い物する際、こんな選択を迫られる機会がますます増えそうだ。

 小売り最大手のイオンが、買い物客に無料で手渡していたレジ袋の有料化に乗り出した。京都市内の1店舗で試験的な導入に踏み切り、今後、それ以外の店舗に広げていく計画だ。他のスーパー大手も検討に入っている。

 国内全体で、年間300億枚とされるレジ袋の使用量を減らし、省資源と環境保護を進めるのが狙いだ。

 レジ袋の有料化は、一部ではかなり以前から実施されている。生活協同組合は1970年代半ばから、全店舗の約6割に当たる約700店で、1袋5〜10円で販売を始めた。首都圏中心のある食品スーパーも1袋6円を取っている。

 だが、大手スーパーは客の反発を恐れて、有料化に踏み切れないでいた。その背中を押したのが、昨年6月に成立した改正容器包装リサイクル法だ。

 スーパーやコンビニなど大手小売業者に、レジ袋や食品用トレーなどの使用量の削減目標を立て、その実績を国に報告することを義務づけている。

 改正法が施行される今年4月以降は、目標の達成度合いが同業他社に比べ著しく低い場合、ペナルティーとして企業名が公表される。それでも効果があがらなければ、罰金を科すこともある。

 これまでスーパー各社は、買い物袋の持参を消費者に呼びかけてきた。だが、レジ袋を受け取らない客は15%程度しかない。現状を打破するには、有料化が一番手っ取り早いというわけだ。

 今回、中小小売業者は改正容リ法の対象とならなかった。だが、削減努力を求められるのは大手と同じだ。足並みをそろえるべきだろう。地域密着型だけに消費者の協力も得やすいのではないか。

 過剰包装の削減は、小売業者だけが取り組めば済むという問題ではない。

 家庭から出るゴミのうち、レジ袋が占める量はわずかで、食品を包むラップや紙袋、包装紙などの方が多いとも言われる。ゴミ減量を本格的に進めるならば、レジ袋の有料化を契機に、過剰包装全体を見直す必要がある。

 製品をパッケージするメーカーの責任は大きい。製品輸送時にも、こん包材の過剰使用が指摘されている。メーカーは知恵を出し、簡素化を進めてほしい。

 過剰包装の追放は、原材料、人間の手間、ゴミ処理の3分野での節約につながる一石三鳥の効果がある。メーカー、小売業者、消費者が、力を合わせて取り組んでいくことが重要だ。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070114ig91.htm