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2007年01月13日(土) 00時00分

東京大気汚染訴訟 自動車7社和解協議へ 東京新聞

 東京都内のぜんそく患者らが自動車排ガスが原因で健康被害を受けたとして、国や都、自動車メーカーに損害賠償などを求めた東京大気汚染訴訟の控訴審で、自動車メーカー各社は十二日、都が東京高裁に示したぜんそく患者らに対する医療費助成などの救済案に協力することを含めて和解協議に応じる意向を東京高裁に伝えた。 =解説<26>面

 自動車メーカー各社の姿勢には温度差もみられるが、和解協議に応じる姿勢が明確になったことで、協議が始まるかどうかは今後の国の対応が焦点になる。

 東京高裁に意向を伝えたことを明らかにしたのは、訴訟の被告となっているトヨタ自動車と日産自動車、マツダ、三菱自動車工業、いすゞ自動車、日野自動車の六社。日産ディーゼル工業も応じたもよう。

 自動車メーカーの賠償責任については、一審の東京地裁判決で原告の請求が棄却されていることから、各社は法的な責任に関しては認めていない。

 しかし、社会貢献の観点などから、都の救済案を含めて和解協議に応じることにした。

 一方、都の救済案に対して各社は「検討すべき事項も多い」(トヨタ自動車)などと内容の見直しも求めている。

 日産自動車は「ステークホルダー(利害関係者)の理解を得るため、都の試算で約四十億円とする患者に対する医療費の年間助成額と、当初五年間の後は状況に応じて見直すとする助成期間を明確にする必要がある」と具体的に要請した。

 都の救済案は、都内の十八歳以上の気管支ぜんそく患者を対象に入院食事費を除く医療費の本人負担分を支給。財源は国と都が各三分の一、残りを旧首都高速道路公団(現首都高速道路会社)とメーカーが負担するとしている。

 訴訟は二〇〇二年の東京地裁判決で第一次提訴の原告の一部について国と都、旧公団の損害賠償責任を認めた。都は控訴せず、一部原告に賠償金を支払ったが、国、旧公団と原告はそれぞれ控訴していた。

 東京高裁は昨年九月の結審後、和解を勧告。これを受けて都は昨年十一月に患者救済案を提示していた。

 原告代理人の西村隆雄弁護士は「各社の回答内容を正確に確認してから、対応を考えたい」と話している。

■今後は具体論を

 都は「メーカー七社が協議に応じるなら、今後は具体的な条件を話し合っていくことになる。国に対しては別途強く要求していく」としている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070113/mng_____sya_____008.shtml