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2007年01月13日(土) 14時32分

多重債務 体験者が救済団体朝日新聞

 消費者金融やヤミ金融で多重債務に陥った人たちを救済するため、被害者団体「静岡ふじみの会」が20日発足する。被害者団体は全国37都道府県に約80団体ある。県内では弁護士や司法書士が中心となって相談活動をしてきたが、多重債務体験者らによる団体はなかった。会では債務者自身も相談員となり、「どこよりも敷居の低い相談場所」を目指す。(竹田麻衣)

◇20日に静岡で設立集会

 「ふじみの会」は約30人の多重債務体験者と約15人の司法書士らが中心となり設立する。会員たちは静岡市葵区駿府町の事務所に週2〜3回集まり、一緒に軽食をとりながら相談に応じたり、お互いの体験を話しあったりする。入会金3千円、月会費500円だが、相談にやってきた人が会員になるかどうかは自由だ。

 主に相談を受けるのは、司法書士ではなく体験者たちだ。体験者が相談員となることは、自身が「もう二度と借金はしない」という意志を堅くする効果もあるという。違法な金融業者のチラシの撤去や、告発、申し入れなどの活動も予定している。

 会の事務局長に就く島田市の小寺敬二司法書士は昨年11月、埼玉県にあるヤミ金などの被害者団体「夜明けの会」を視察した。そこでは、多重債務体験者が相談員となり、訪れる多重債務者の話を聞いていたほか、会員が結束してヤミ金業者に抗議をしたり、悪質業者を県警に告発したりしていた。会員同士が楽しく会食する姿もみられた。

 多重債務者には家族や友人関係に恵まれない人が多く、寂しさからギャンブルなどに走る人が多いという。会食はそうした人たちの心を癒やし、「多重債務の悪循環」を断ち切る目的で開かれていた。

 小寺さんたちは「夜明けの会」を参考に「ふじみの会」の活動内容を検討してきた。小寺さんは「被害者がみんなで考え自ら立ち上がっていく組織になればいい」と話す。「ふじみの会」の名前は、富士山を仰ぎ見るという「富士見」と、「不死身」からとったという。

 20日午前には、富士山の青木ケ原樹海に借金苦での自殺を思いとどまるよう呼びかける立て看板を設置する。約1メートル四方の看板には「借金の解決は必ず出来ます!

 私も助かりました」ということばに続き、多重債務を克服した3人の名前と、「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」の電話番号が記されている。

 設立集会は20日午後1時半から静岡市商工会議所で(受け付けは午後1時から)。「ふじみの会」問い合わせは小寺敬二司法書士(090・7677・7492)まで。

http://mytown.asahi.com/shizuoka/news.php?k_id=23000000701130005