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2007年01月12日(金) 00時05分

細菌基準10倍で出荷 不二家、社内連絡が不徹底朝日新聞

 大手菓子メーカー「不二家」(本社・東京)の埼玉工場が昨年10月から11月にかけて消費期限が切れた牛乳を使ってシュークリーム約1万6000個を製造、出荷していた問題にからみ、同社は11日に開いた記者会見で、昨年6月に同工場で作った洋菓子「シューロール」から基準を超える細菌を検出しながら、そのまま出荷していたことを明らかにした。

 同社によると、昨年6月8日に製造したシューロールの細菌検査で、食品衛生法が定める基準の約10倍、同社の自主基準の約100倍にあたる細菌数を検出した。本来は再検査のあと廃棄しなければならなかったが、検査結果の社内での連絡が不徹底だったため、113本が出荷されたという。同社はほかにも、アップルパイ製造の際に賞味期限が過ぎた材料を使ったことなども明らかにした。

 シュークリームについては、定年後にパート社員として再雇用された元菓子職人が原料の仕込みを担当していた。社内調査に対して「期限切れの牛乳でも自分で色やにおい、味によって品質を確認できると思っていた」と話しているという。関口宏記生産部長は会見で「ベテランの甘さがあった」と説明した。

 シュークリームの製造ラインは牛乳を大量に使用することから、別の菓子製造ラインから余った牛乳が回ってくることもあったという。同工場は環境保護を理由に牛乳を排水溝に流すことを禁じる半面、具体的な廃棄方法は定めていなかった。

 同社は昨年11月には事実を把握しており、社内の対策会議では「マスコミに発覚すれば(集団食中毒事件を起こした)雪印乳業の二の舞いとなる」という文書が配られていた。藤井林太郎社長は「ことの重大さを伝えるための表現で、隠蔽(いんぺい)するつもりはなかった」と釈明した。

 同社はこの記者会見で全国約890の直営店・フランチャイズ店などで洋菓子販売を当面休止することなどを発表した。レストラン、カフェは通常通り営業を続ける。

http://www.asahi.com/national/update/0111/TKY200701110411.html