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2007年01月12日(金) 00時00分

CPUメーカーAMDのマーケティング担当者に聞く読売新聞

“裏方”CPUあってのビスタの新機能

「パソコンを使うときにCPUのことをほとんどの人は考えないが、実はその役割は非常に大きい」とMicah Stroudさん

 次期OSビスタは、それを支える“裏方”の存在なくしては語れない。ビスタの新グラフィックス機能「エアロ」が快適に動作するには、高い能力のCPU(中央演算処理装置)と画像処理チップが不可欠だ。現在、インテルに次ぐCPUメーカー2位の、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、ビスタパソコン向けにCPUの供給増を見込んでいる。

 CES最終日の11日、AMDデジタル部門のマーケティングマネジャー、Micah Stroudさんに、CPUとパソコン、デジタル家電の関係、及び同社の戦略について聞いた。

 「これが、ビル・ゲイツ会長が(CES開幕前日の7日の基調講演で)、『ウィンドウズ・ホームサーバー』の実演に使ったサーバーです」とStroud氏は、ブースに展示してある機器を指さした。


ウィンドウズ・ホームサーバー。CPUはAMD製

 ウィンドウズ・ホームサーバーとは、家庭内のパソコンなどをネットワーク簡単につなぎ、データをやり取りするシステム(日本での販売は未定)だ。 このサーバー内部のCPUは、AMD製だというのだ。

 ビスタの登場でパソコンと家電の関係が、大きく変わろうとしている。携帯電話、オーディオ、PDA(携帯情報端末)デジタルカメラ、プリンター、DVDプレーヤーといった家庭内にあふれたデジタル家電とともに、その中のコンテンツ(写真、映像、音楽、ゲームなど)の量も飛躍的に膨らみ続けている。

 マイクロソフトは、ビスタにデジタル家電のデータを素早く検索、表示、整理、編集する役割を持たせた。

 そのためには「OSよりも、CPUの役割が大きい」とStroudさんは語る。例えばデータを機器間で移動するには、CPUや画像処理チップの高い処理能力が前提になる。

 同社はビスタの登場と、デジタル家電のネットワーク化を見越し、先手を打っていた。画像処理チップメーカー大手のATIテクノロジーズ(カナダ)を昨年10月に買収。CPU内のチップセット呼ばれる部品と画像処理チップを一体化(統合チップセット)しコストを下げたフュージョン(融合、合同)というCPUを開発中だ。

 そして「CPUだけでなくメモリー、チップセット、画像処理チップ、ワイヤレス技術などを組み合わせ、パソコンやデジタル家電用に最適な構成を販売していく。さまざまな機能、部品を自在に組み合わせられることでコストも下げられるようになる」(Stroudさん)と、CPU に関連部品の販路拡大を意気込む。

 ビスタの登場とデジタル家電のネットワーク化は、これまでパソコン中心だったCPU市場の拡大したことを意味しておりAMDと追い上げを受けるインテルとの攻防もいっそう激しさを増すことが予想される。(YOMIURI PC 林宗治)

http://www.yomiuri.co.jp/net/feature/20070112nt08.htm