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2007年01月12日(金) 00時00分

不二家“雪印の二の舞い”現実味、違いは…ZAKZAK

 【雪印の悪夢】

 不二家株はこの日も朝方から売られ、一時、前日比22円安の189円と昨年来安値(昨年6月9日の194円)をあっさり更新、市場では「下げ止まる要因が見当たらない」(中堅証券会社)との声も聞かれた。

 株価暴落もさることながら、直接口に入れるものを作る食品メーカーにとって、信用失墜による企業イメージの悪化は命取りとなりかねない。それは不祥事で解体・再編の憂き目をみた雪印の例をみても明らかだ。

 雪印乳業(当時)では平成12年6月から7月にかけて、乳製品による食中毒事件が発生。さらに13年から14年にかけて、雪印グループ企業による牛肉偽装事件も発覚し、完全に信用を失った雪印は解体・再編を余儀なくされた。

 ただ、雪印は本来、財務体質の強い企業。それに対し、不二家は弱い。「今回の不祥事で、自力で再建するのはかなり厳しい状況に追い込まれるだろう」(証券関係者)との見方が根強い。

 不二家の18年9月中間連結決算では、本業のもうけを示す営業損益は11億6200万円の赤字。特に、不祥事の舞台洋菓子部門は、15年から営業赤字が続いている。今回の不祥事で業績が悪化するのは必至で、まさに弱り目にたたり目の状態。

 一連の不祥事について経営評論家で作家の江坂彰氏は「食品を扱う企業にとって安全性の欠如は致命的な問題」として、「最悪の場合、雪印食品のようなケースもありうる」と指摘。

 今回の不祥事をめぐっては、不二家の社内調査チームが昨年9月から、実態調査に乗り出し、同11月にまとめた資料では「(不祥事が)マスコミに発覚すれば、雪印乳業の二の舞いとなることは避けられない」と言い切っている。

 【ブランド力】

 信用が地に落ち、経営危機が頭をもたげてくる不二家だが、「財務状況がいかに悪化しても、やはり『ペコちゃん』ブランドはおいしい」(証券アナリスト)のも事実。今後、菓子業界の再編のきっかけとなり、買収に動くメーカーや投資ファンドが現れる可能性はある。

 菓子業界は少子化などの影響もあって、全体の売り上げが伸び悩んでいる。不二家が得意とする洋生菓子の売り上げも、業界全体では小売りベースで平成15年4450億円、16年4530億円、17年4575億円(全日本菓子協会調べ)と微増にとどまっており、今後も大きな伸びを望みにくい状況だ。そのため、菓子業界で再編が進むとの見方は根強い。

 ブランド力はあるものの、信用を失い、財務状況も悪い不二家。自力での再建が難しくなる中、優良メーカーに買収されるか、信用補完もしてくれるスポンサーが現れるかでもしないと、本当に「雪印の二の舞い」となりかねない。

ZAKZAK 2007/01/12

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_01/t2007011227.html