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2007年01月12日(金) 00時00分

「どう償っていいのか 分からない」朝日新聞

  3歳児童虐待死 初公判

   父、後悔「何も言えず」

 「やせていくのは知っていたが、どうしていいか分からなかった」「どう償っていいのか分からない」。11日に京都地裁であった長岡京市の3歳児虐待事件の初公判。昨年10月に佐々木拓夢(たくむ)ちゃん(当時3)を餓死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた父親の運送業佐々木貴正被告(28)は何度も後悔の念を口にした。

 午前10時からの初公判で起訴状の朗読が始まると、内縁の妻、西村知子被告(39)は肩を震わせて泣き始め、佐々木被告も検察側の冒頭陳述の途中から、前かがみになってうなだれた。

 午後、佐々木被告への質問などがあった。弁護士が、拓夢ちゃんが排泄(はいせつ)したことを言えなければ、食事を抜くルールを決め、昨年9月15日から実行していたことを聞くと、佐々木被告は「トイレトレーニングの際、(拓夢ちゃんは)おしっこの感覚は分かっていたので、応えてくれると思った」と述べた。

 西村被告の親類が10月初旬にやせこけた拓夢ちゃんを見た時「こんな拓夢ちゃんを見たくない」などと迫られたが、虐待を止められなかったことについては「子どもには母親が必要だと思った。(西村被告に)何も言えなかった」と弁解した。

 検察側は、なぜ病院に連れて行かなかったのかと問いただし、佐々木被告は「父親としての自覚がなかったと言われればそうだった」と述べた。

 西村被告の弟は西村被告について「(拓夢ちゃんを)『たっくん』と言ってかわいがり、(拓夢ちゃんも)甘えていた」などと証言した。

 両被告が拓夢ちゃんの姉にも食事を抜いたり、足や顔を殴るなどの虐待をしていたことも公判で明らかになった。傍聴した地元の自治会長永井眞由さん(67)は「親の都合で子どもを物扱いしていたことに、人権や人格をどう考えているのかと残念に思った」と話した。

 22日に西村被告への質問や論告求刑などがあり、結審する予定。

http://mytown.asahi.com/kyoto/news.php?k_id=27000000701120003