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2007年01月11日(木) 03時09分

有力議員ら不透明事務所費、タダの議員会館で7千万も読売新聞

 伊吹文明・文部科学相や松岡利勝・農相ら少なくとも6人の有力議員の資金管理団体が、家賃のかからない議員会館内の事務室を「主たる事務所」と届け出ていたのに、政治資金収支報告書には年1000万円程度から7000万円もの「事務所費」を支出したと記載していたことが分かった。

 各議員は「議員会館とは別の所にある事務所経費を計上していた」などと説明しているが、細かい使途は明かしていない。収支報告書に領収書のコピーを付ける必要がない事務所費は、以前から不透明さが指摘されており、政治資金の公開のあり方を巡って改めて論議を呼びそうだ。

 多額の事務所費の支出が判明したのは、伊吹文科相の「明風会」、松岡農相の「松岡利勝新世紀政経懇話会」、中川昭一・自民党政調会長の「昭友会」、遠藤利明・文科副大臣の「新風会」、衛藤征士郎・元防衛長官の「新21世紀政治経済研究所」、松本剛明・民主党政調会長の「松本たけあき後援会」。

 2005年までの5年間に、明風会は計2億2695万円、松岡利勝新世紀政経懇話会は計1億4275万円、昭友会は計2億8586万円、新風会は計6229万円、新21世紀政治経済研究所は計6368万円の事務所費を支出したと記載。松本たけあき後援会は、05年から「主たる事務所」を地元・姫路市から議員会館の事務室に移したが、同年の事務所費は1866万円に上っていた。

 政治資金規正法や同法施行規則では、事務所の家賃や火災保険の保険料、事務所で使った電話代や切手代などを「事務所費」として記載するよう義務づけている。議員に無償提供されている議員会館の事務室を資金管理団体の事務所に使用した場合は、家賃が不要で、事務所費は低額に抑えられることが多い。

 現職の大臣、副大臣、政務官で、05年に資金管理団体の主たる事務所を議員会館に置いていた衆参両院議員は、伊吹文科相ら3人のほかに13人いたが、大半は事務所費がゼロから500万円程度だった。

 伊吹文科相の事務所は「議員会館の事務所とは別に、東京と京都に事務所があり、家賃が年間計1800万円ほどかかる」と説明。残る年間2千数百万円は「駐車場代やコンピューター経費など」としている。遠藤副大臣、衛藤元防衛長官の各事務所も、「別の事務所があり、その賃料や電話代などを計上している」などと説明した。

 松本氏は、主たる事務所を姫路市に置いていた04年の事務所費は805万円で、議員会館に移した05年は倍以上に増加。松本氏の事務所は「後援会活動を大幅に拡大したことに伴う事務所費も計上されている」としている。

 一方、松岡農相の事務所は「(農相が)海外出張中で、現時点ではコメントできない」とし、事務所費が年7600万円に上る時もあった中川氏の事務所は「他の事務所の家賃等を計上している。詳細は調査中」と述べた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070111it01.htm