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2007年01月11日(木) 23時15分

全資料流出の可能性大 試験問題漏洩で福岡市教委が報告朝日新聞

 福岡市教育委員会が昨年8月に実施した小中学校教員の採用試験が事前に漏洩(ろうえい)していた問題で、市教委は11日、中間報告を発表した。これまで、漏洩は2次試験の一部とみられていたが、実際には2次試験のすべてだったことが判明。試験問題の検討委員会のトップである市教委理事が、受験者らを指導した元小学校長に対し、問題の原案を手渡していた可能性が大きいと結論づけた。市教委はこの理事を懲戒免職処分にする方針。

 中間報告によると、桑野素行理事(60)は市教委の聴取に対し、漏洩の経緯について、(1)2次試験の前に、福岡教育大の先輩である元小学校長が訪ねてきた際に、問題の原案をみながら集団討論と模擬指導のキーワードを話し、元校長はメモを取りながら聴いた(2)ほかの資料を元校長に渡す際に、気づかずに問題の原案を渡したかも知れない——と説明した。

 理事は「最もしてはいけないことだ」と認識していたといい、元校長に「このまま使わず、色々な情報をいれながら組み立ててくれ」と隠蔽(いんぺい)を要請したという。

 市教委は、元校長が40人から50人の受験者に対する勉強会で配布した予想問題が、問題の原案と極めて似ていることなどから「(問題の原案の)資料そのものが漏洩された可能性が高い」と判断した。

 この予想問題を見た受験者らについては、問題漏洩を知らない「善意の第三者」だったとして、再試験などは見送る方針だ。

http://www.asahi.com/national/update/0111/SEB200701110011.html