記事登録
2007年01月11日(木) 13時18分

不二家、全店で洋菓子販売休止 期限切れ牛乳使用が判明朝日新聞

 大手菓子メーカーの「不二家」(本社・東京)が昨年10月から12月にかけて、消費期限が切れた牛乳を使ってシュークリーム約1万6000個を製造し、関東などに出荷していたことが分かった。同社は事実を把握した後も、公表や回収の呼びかけをしなかった。一部報道で表面化したことを受けて11日に記者会見し、当面、全国約800の直営店・フランチャイズ店で洋菓子販売を休止すると発表した。

不二家銀座店では、ペコちゃん人形の隣におわびの紙が張り出された。奥のショーケースにはカバーがかぶせてあった=11日午後、東京・銀座で

ショーケースに布がかけられ、菓子の販売中止のお知らせを掲げた不二家の店頭=11日午後0時52分、名古屋市中区栄3丁目で

おわびを張り出し営業を取りやめた不二家の店舗には、商品がなく、ひっそりとしていた=11日午後0時20分、福岡市博多区で

一時休業の張り紙を出してシャッターを降ろした梅田地下センター売店=11日午後、大阪市北区で

 消費期限切れの牛乳を使ったのは埼玉工場(埼玉県新座市)。同社は、この工場を含む全国5工場の操業を品質管理が徹底できたとみなすまで休止する。埼玉県は11日、埼玉工場に立ち入り検査した。

 同社によると、埼玉工場は昨年12月8日、消費期限が前日に切れた牛乳60キロを使ってシュークリーム2000個を製造、出荷した。これ以前にも昨年10〜11月に消費期限が一日切れた牛乳を7回使用し、計約1万6000個のシュークリームが出荷されたという。

 同社側は記者会見で「類似の事案は以前からあったものと認識している。大変申し訳ないことをした」と説明し、ずさんな管理態勢が常態化していたことを認めた。

 社内調査によると、消費期限切れの牛乳の使用は埼玉工場の製造担当者が決めた。「捨てるのはもったいない。においをかいで問題ないと思った」と言い、「2年前にもやったかもしれない」と話しているという。

 同社は昨年11月には事実を把握。広報担当者は「出荷時の細菌検査に問題はなく、健康被害の苦情もなかったので公表しなかった。認識が甘かった」と話している。

 不二家は全国に直営97店舗、フランチャイズ701店舗を展開。洋菓子の販売は全店舗で休止するが、レストラン、カフェは通常通り営業を続けるという。

 〈消費期限と賞味期限〉 決められた方法で保存した場合に、腐敗などで安全性を欠く恐れはないと認められるのが消費期限。おいしく食べられる限度を指す賞味期限とは違う。

http://www.asahi.com/national/update/0110/TKY200701100407.html