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2007年01月11日(木) 14時59分

「社内対応に気を取られ意識及ばなかった」と不二家社長朝日新聞

 期限切れの牛乳でシュークリームを作っていたことが判明した「不二家」。11日、各地の店舗からは洋菓子類が一斉に姿を消した。「ペコちゃん」のキャラクターでなじみの深い老舗(しにせ)の不祥事。会社側は記者会見でおわびを繰り返したが、消費者からは憤りの声が上がった。

 「生活者に不安とご迷惑をおかけしたことを深くおわびする。食品会社として信頼を裏切る行為をした」。同日午前、東京・銀座の本社で会見した藤井林太郎社長は冒頭、頭を下げた。

 同社によると、今回の問題は昨秋からの社内調査で発覚した。埼玉県の埼玉工場では、期限切れで廃棄されているはずの牛乳やリンゴの加工品について、廃棄された記録がなかったという。

 大量のネズミが同工場で捕獲されていたなどの新事実を次々と明らかにしながら、会見で同社側は「チェック態勢の改善を指示した」などと繰り返し強調した。

 「11月の時点で問題が発覚していたのに今になって公表した。隠蔽(いんぺい)する意図があったのでは」などとの質問が浴びせられると、藤井社長は「社内の対応策に気を取られて意識が及ばなかった。考えに甘さがあった」とうつむいた。

 東京・銀座の「不二家銀座店」。カフェとレストランは通常通り営業していたが、普段は生菓子を並べている1階のガラスのショーケースが空にされ、ほかの焼き菓子類にも布が掛けられた。

 入り口前では社長名のおわび文がペコちゃん人形のわきに掲げられた。店の前を通りかかった近くで働く女性会社員(44)は「びっくりした。昨年11月ごろシュークリームを買ったので許せない。害はないと言われても気分が悪く腹立たしいですね」。

 同じ銀座にある「数寄屋橋店」では、1階の洋菓子販売コーナーのシャッターが閉められ、張り出されたおわび文の前に人だかりができた。男性会社員(62)は「食の安全が騒がれているなか大手メーカーがこのようなことをすると何を信用していいのか」と話した。

http://www.asahi.com/national/update/0111/TKY200701110251.html