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2007年01月10日(水) 15時36分

暴力団からの債権回収に専従態勢 整理回収機構など朝日新聞

 暴力団などが関係する不良債権を回収するため、整理回収機構と預金保険機構が、警察官や裁判官ら約30人の専従態勢を整え、本格的な対策強化に乗り出した。不動産に勝手に居座る暴力団を立ち退かせることなどを目的に、明け渡しを求める保全処分を次々に申し立てており、05年度中に裁判所が決定した保全件数は、前年度より7件増の11件にのぼった。地域からの暴力団追放にもつながっている。

 保全処分の申し立ては債権を持つ都市銀行などもできる。ただ、暴力団が絡む場合、立ち退かせるまでの労力や費用の負担が大きく、報復や暴力を恐れて手がつけられていないのが実情だ。

 整理回収機構が破綻(はたん)した金融機関などから買い取った債権のうち、暴力団絡みは全国で600件を超す。預金保険機構は「回収困難な不良債権を放置すればバブルの負の遺産が積み上がり、公正な市場を阻害しかねない」と判断。04年11月、回収困難な物件を個別に検討する「フェニックス作戦」を立ち上げた。

 今年度からは専従の職員を大幅に拡充し、出向組の警察官が蓄積してきた暴力団情報を活用。保全処分の妥当性を判断するなど、裁判官や国税職員、検事らがそれぞれの専門知識を駆使して物件の洗い直しを進める。

 明白な妨害行為は競売入札妨害罪などで立件されることもあるが、民事不介入が原則の警察にとって、債権回収に伴うトラブルを事件化するのは難しい。このため、両機構は債権回収の優先順位を検討する際、近隣住民の不安解消につながるかどうかを重視し、物件の競売を繰り返してきた。

http://www.asahi.com/national/update/0109/OSK200701090100.html