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2007年01月09日(火) 03時01分

民放経営統合、10局程度まで容認 総務省、規制緩和へ朝日新聞

 総務省は、民間放送局が純粋持ち株会社方式で10局程度まで他局を経営統合できるように、規制緩和する方針を固めた。表現の多様性を確保するために放送局の他局買収を禁じる「マスメディア集中排除原則」に特例を設けるもので、一部の地方局が経営不振に陥った場合に、東京のキー局が救済できるようにする。

 現行ルールでは、放送局が別の放送局の株式を持つ場合、放送地域が重なれば出資比率10%まで、別の地域でも20%未満しか許されない。ただ、例外として、東北6県や九州7県など地理的なつながりの深い地域では、県境をまたいでの合併や完全子会社化を7局を上限に認めている。

 今回の規制緩和は地理的な条件を外し、国内のどの地域の放送局も再編を可能にする。統合を認める放送局数は当初「10前後」とするが、段階的に増やしていく考えだ。

 規制緩和の背景には、地方局経営の先行き不透明さがある。民放全体で8000億円を超える地上デジタル放送への設備投資負担が重くのしかかることに加え、インターネット放送も市場を広げているからだ。

 地方局の主体性が失われないようにする歯止め策として、統合は合併や子会社化ではなく、持ち株会社方式にする。純粋持ち株会社の下に各放送局がぶら下がる形になるため、形式上はキー局と地方局は「同格」になる。

 総務省は関連する放送法改正案を今年の通常国会に提出したい考えで、すでに民放幹部らに非公式に伝えている。改正法が成立すれば、来年春には規制緩和が実施される見通しだ。

 ただ、キー局には、地方局の救済負担を押しつけられることへの警戒感がくすぶる。地方局側にも、「地域からの情報発信を維持していく上では、かえってマイナスになるのでは」(西日本の地方局社長)など、規制緩和に慎重な見方もある。

http://www.asahi.com/business/update/0109/002.html