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2007年01月09日(火) 03時00分

衛藤議員秘書へ1億円超、情報会社通じ購読料名目で読売新聞

 元防衛長官・衛藤征士郎衆院議員(65)(自民、大分2区)の公設第1秘書(57)が私設秘書時代、情報サービス会社を作り、地元建設業者などから情報冊子の購読料名目で2004年までの9年間に少なくとも1億4000万円を集めていたことが、読売新聞の調べで分かった。

 複数の秘書が購読を働きかけ、元秘書の1人は「政治資金として集めた」と証言している。資金の一部は同社役員の個人献金の形で議員側に流れており、政治家個人への企業献金を禁じた政治資金規正法に抵触しかねない“迂回(うかい)献金”だった疑いも出ている。

 元秘書の話などによると、公設第1秘書は私設秘書だった1996年2月、当時秘書活動の拠点だった大阪市に「情報サービス」を設立。冊子を毎月発行し、大分県の地元事務所の複数の秘書が購読を建設業者などに依頼した。

 冊子はA4判、十数〜数十ページで、公設第1秘書がインターネットなどで官公庁の発表資料などを集めてコピーしただけのものだったが「購読料」は月5万〜20万円と破格で、業者によって金額にばらつきがあった。

 同社は、登記上は大阪市の公認会計士事務所内だったが、実際には同市内の別の場所にあった。社長は支援者の不動産鑑定士、取締役はこの会計士が務め、社員は公設第1秘書ら2人だった。会計士は「この秘書に頼まれて名前を貸した」とし、不動産鑑定士は「話す必要はない」としている。同社は、この秘書が公設第1秘書となった後の05年3月に解散した。

 公設第1秘書の説明などによると、購読業者は延べ17、18社で、多くが大分県内の建設会社。年1600万〜2千数百万円を購読料として集める一方、冊子作りにかかるコピー代は年40万円程度だった。収入のうち、社員2人の給料として年1000万円以上、役員報酬として1人につき年約120万円が払われた形になっていた。

 不動産鑑定士は衛藤議員の政治団体に献金していた00年から5年間に約600万円の報酬を得たことになるが、この間の献金額は約480万円に上った。会計士は同社設立前から、ほぼ毎年十数万〜150万円を献金していた。

 公設第1秘書は、鑑定士が役員報酬の大半を献金していた点などは認めたが、「自分の個人的なビジネスで、事務所として組織的にやったわけではない」と主張。衛藤議員も「情報サービスという会社は知らなかった。秘書の個人ビジネスで問題はない」と話した。

 これに対し、購読を勧誘した元秘書は「公設第1秘書から政治資金にするという説明を受けて協力した」とし、別の元秘書も「個人ビジネスなら協力しない。代議士のためにやっており、集まった金の処理は公設第1秘書の裁量と思っていた」と証言している。

 衛藤議員は現在8期目で、衆院国家基本政策委員長。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070109it01.htm