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2007年01月07日(日) 00時00分

政調費問題の品川・自民区議団 返還後も不明朗飲食 東京新聞

 キャバレーでの飲食費などを「不適切な支出」と認め、政務調査費の一部を二〇〇四年一月に返還した東京都品川区議会の自民党区議団が、〇五年度の政務調査費でも不自然な支出を繰り返していたことが六日、本紙の調べで分かった。同じ日に一つの店で二度飲食をしたり、店が定休日に当たる日に飲食したりしていたことを示す領収書が収支報告の書類に添付され、区議長に提出されていた。「品川区民オンブズマンの会」は、〇三−〇六年度分の飲食に関する支出についても「不適切」として同区議団に近く返還を求める。

 同区議団の政務調査費の使途をめぐっては、同会が〇一、〇二年度に飲食に充てた分の返還を求め、相次いで訴訟を起こした。同区議団は正当性を主張して全面的に争ったが、最初に返還を求められた銀座、六本木のキャバレーやクラブで使った九件約三十万円について、〇四年一月に「誤解を招きかねない不相当な支出」と認め、区に返還した。

 本紙は昨年十二月、返還後の〇五年度分の政務調査費について、関係文書の情報公開請求をしたところ、同区議団の不自然な支出が相次いで見つかった。

 四月十一日の「会議費」とされた支出では、同じ日付で区内の同一の日本料理店で一万円ずつ二度飲食したことになる領収書が添付されていた。二枚の領収書とも、あて名がなかった。

 七月十五日の「研究費」では、再び同じ店で二度飲食したことになる領収書を添付。一枚は二万円、もう一枚は一万二千円と金額が違っていた。あて名はどちらも「自民党品川区議団」だった。

 また、九月十八日の「会議費」は、区内の別の日本料理店で二千八百円を支払ったことになっているが、この日は日曜日で店の定休日。領収書にあて名はなかった。金額と日付にある「8」の数字の筆跡が異なることが分かる。

 ほかにも、同区議団が飲食で支出したことを示す領収書には、あて名がないものが多く、日付も記入していないものが少なくなかった。

 本紙の取材に対し、同じ日付の領収書二枚を出したことになっている日本料理店は「分からない」と回答。定休日に飲食したことになっている別の日本料理店の店員は「その日はまず営業していないと思う」とした上で、「金額は自分の筆跡だが、日付は自分の筆跡ではない」と証言した。

 これに対し、同区議団の築舘武雄幹事長は、四月十一日分について「二人の議員がそれぞれ会費として払った」としたが、どの議員が使ったかは言えないとした。一方、七月十五日分については「金額が違うので会費ではないと思う。調べたが、どうしてなのか分からなかった」とした。

 また、九月十八日分では「使った議員が店はやっていたと言っている」と主張したが、どの議員が使ったかは言えないとした。

 同区議団は、〇四年に返還した約三十万円を除く〇一、〇二年度分の飲食の全三百五十一件、計約七百七十万円分について同会から返還訴訟を起こされ、東京地裁が昨年四月、全額を目的外支出と認定し返還を命令。区議団は控訴審で争ったが、目黒区議会で政務調査費の不適切な支出が問題となった同十一月末に突然、「目的外」と認め、延滞金を含め千百二十八万円を返還した。一方で〇三年度以降は返還の意向を示していない。

 一連の訴訟の原告代理人の千葉恒久弁護士は、「明らかにおかしな使い方をしても、誰もチェックしていないのが実態だ。仮に日付などを勝手に書いているとすれば有印私文書偽造にあたる。説明できないというのは驚きで論外だ。使途報告では、誰が何の目的で使ったかを明確に記載し区民に説明できるようにすべきだ」と話している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070107/mng_____sya_____010.shtml