記事登録
2007年01月06日(土) 03時00分

児童虐待、立ち入り強化へ…親への呼び出し命令も読売新聞

 与野党は、急増する児童虐待に歯止めをかけるため、児童虐待防止法を改正する方針で一致した。

 虐待を早期に発見、是正できるように、全体的に親の権限を弱め、行政が問題に介入しやすくするのが狙いだ。虐待の疑いがある保護者に対し、知事が「呼び出し命令」を出し、応じない場合は児童相談所が保護者の住居に立ち入り調査できる制度を創設する。児童との面会制限などに違反した場合、罰則を科すことも検討している。与野党は25日召集予定の通常国会に議員立法として改正案を提出し、成立を図る考えだ。

 児童相談所が2005年度に受けた児童虐待の相談は3万4472件に上り、00年度の2倍に急増した。警察による摘発件数も06年上半期だけで120件に達し、過去最高となった。

 現行法では、「虐待の恐れがある」場合でも、保護者が拒否すれば、立ち入り調査を実施できない。保護者が食事を与えないなどのネグレクト(育児放棄)を行っている場合、虐待かどうかの見極めが付かず、手遅れとなるケースが少なくない。

 このため、改正案では、虐待の疑いがある保護者が立ち入り調査に応じなかったり、虐待の恐れが不明確な場合、知事が保護者に児童相談所の面接を受けるよう「呼び出し命令」を出す手続きを新設し、児童相談所の立ち入り調査権限を拡大する。それでも保護者が立ち入りを拒んだ場合、裁判所の令状取得などを条件に、「保護者の同意なく立ち入り調査を行うことができる」という強制立ち入りの規定を明記することも検討している。

 親権を盾に児童の治療を拒む「医療ネグレクト」に対応するため、親権を事実上制限し、治療を受けさせることを保護者に命じることも検討する。

 児童を保護した後の対応も強化する。現行法でも、児童相談所などが保護者と児童との面会や通信を制限できると定めている。さらに、制限に違反した場合の罰則規定を新設する方向だ。

 自民、公明、民主、共産、社民各党などの衆院青少年問題特別委員会の委員は「児童虐待防止法見直し勉強会」(幹事・馳浩自民党衆院議員)を設置して協議を重ね、改正の方向について大筋で合意した。3月にも改正案を作成し、同特別委での委員長提案を目指す。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070106it01.htm