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2007年01月06日(土) 21時37分

日興、業績悪化を懸念 止まらぬ顧客離れ朝日新聞

 不正決算に揺れる日興コーディアルグループに対し、大手金融グループによる出資など支援・提携策が浮上してきた。顧客離れが進み、深刻な業績へのダメージも懸念されるためだ。日興は不正の原因究明や再発防止といった社内の立て直しと同時に、対外的な戦略でも大幅な修正を迫られる可能性がある。

日興コーディアルグループの主な資本関係

 不正を契機にした顧客離れについて、中核会社、日興コーディアル証券の北林幹生社長は「大きく影響を受けている」と認める。

 個人向け業務では、不正が発覚した昨年12月の個人向け国債の販売額が、月平均の半分ほどに激減。稼ぎ頭の投資信託も申込数や販売額が減り、解約数が急増した。

 東京証券取引所が上場持ち株会社である日興コーディアルグループの株式を監理ポストに移し、法人向けでも、年金基金などの機関投資家の間で日興への売買注文を止める動きが相次いだ。

 日興関係者は「通期の赤字転落はない」と話すが、バブル後最高益だった前期からの大幅な減益は必至で、信頼回復へ時間がかかるのも確実だ。

 06年3月末の長期借入金残高は約5448億円で、3年間で2.4倍に急増した。有村純一グループ前社長が、自己資金投資の拡大へ借り入れを増やした。短期を含む06年3月末の有利子負債額は5年前の2倍の1兆8251億円で、今後、金利が上がれば、財務基盤も大きく圧迫される。

 ●シティ・三菱UFJも浮上

 日興への支援でまず有力視されるのは、第2位の株主で、株式引き受け業務でも協力関係にある、みずほフィナンシャルグループ(FG)。国内4位のみずほ証券やみずほインベスターズ証券、新光証券を持つが、日興グループと組めば野村グループに次ぐ規模となり存在感が増す。

 筆頭株主の米シティグループも注目される。日興シティグループ証券に49%を出資し、日本での大企業や機関投資家向けのビジネス基盤として重視する。今後、日興との提携関係の再構築や見直しに動く可能性がある。

 日興・シティの提携で、日興とたもとを分かった三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の名前も挙がる。日興は三菱系企業の株式引き受けが多く、主取引銀行には三菱東京UFJ銀行が名を連ねる。MUFGにとって日興の人材や顧客基盤は魅力だ。一方で、みずほやシティとの関係に加え、日興内にある独立性を維持すべきだとの主張が、MUFGとの関係強化の障害になる可能性もある。

http://www.asahi.com/business/update/0106/026.html