記事登録
2007年01月06日(土) 13時02分

国賠提訴:取り調べ不当「須賀川署は通告無視」 弁護権侵害、弁護人が主張 /福島毎日新聞

 取り調べをやめるよう須賀川署に内容証明郵便で通告したのに無視された——。5日、国と県を相手取り、地裁郡山支部に国家賠償請求訴訟を起こした郡山市の斎藤利幸弁護士(54)は会見を開き、取り調べの違法性と弁護権侵害を訴えた。
 斎藤弁護士が弁護人を務める鏡石町の会社役員、滝口重被告(45)=業務上過失致死と道交法違反(酒気帯び運転)罪で既に起訴=は06年11月23日夜、飲酒運転し近くにいた妻陽子さん(当時43歳)をはね死亡させた。滝口被告は須賀川署に逮捕され、地検郡山支部は06年12月14日、地裁郡山支部に滝口被告を起訴した。
 訴状や会見によると、斎藤弁護士が起訴翌日の同15日、滝口被告と接見したところ、同14、15日に遺棄致死容疑で取り調べを受けたことが判明。斎藤弁護士が須賀川署に内容証明郵便で「起訴後の被告人の取り調べは刑事訴訟法198条により違法なのでやめてほしい」と同16日に通告した。
 しかし同18日に地検郡山支部の担当副検事から「取り調べをしているのは起訴事実と違うので調べを継続したい」との電話があったという。須賀川署は同19日にも滝口被告の取り調べを行った。斎藤弁護士は「補充捜査をするのは構わないが、被告人を取り調べるのは逸脱している」と捜査機関の違法性を訴えた。
 一方、斎藤弁護士は捜査機関に「どうしても取り調べるなら弁護人として立ち会う。無視するなら国賠訴訟を起こす」とも通告したのに、取り調べが続行されたことについて「弁護権を侵害された」と主張した。斎藤弁護士は「被告人の権利を守っていくには弁護士の判断を尊重してもらわないと困る」と述べた。【福沢光一】

1月6日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070106-00000173-mailo-l07