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2007年01月06日(土) 15時39分

国交省水門工事で官製談合の疑い 公取委が防止法適用へ朝日新聞

 国などが発注した水門工事の入札を巡り、大手プラントメーカーなどが談合を繰り返していた疑いがある問題で、公正取引委員会は、国土交通省発注工事で同省職員が落札希望業者を業者側に伝えるなど「官製談合」があったとの見方を強め、官製談合防止法を適用する方向で検討に入った。

 公取委は昨年3月、石川島播磨重工業や三菱重工業、日立造船など三十数社に独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査を実施。談合ルールの解明を進めていた。

 関係者によると、談合があったとされるのは、国交省が発注したダムに設置する水門ゲートや河川に設置する水門のほか、農林水産省、独立行政法人の水資源機構が発注した水門工事。

 うち、官製談合の疑いがもたれているのは国交省発注工事。公取委は、同省側で談合に関与した疑いがある複数の職員を把握している模様だ。

 このうち本省で課長補佐になった技術系職員は、落札業者について発注側の意向を伝える「天の声」を出していた疑いがあるとされる。この職員はすでに退職したという。

 同省の水門工事では、談合組織の「世話役」を石川島、三菱重工、日立造船の3社が交代で務めていたとされ、同省側の意向を受けた世話役が入札参加各社に伝達する仕組みだったとみられる。

 橋梁(きょうりょう)談合が刑事事件に発展した05年5月ごろ、水門工事での談合もやめたとみられる。

 公取委は業者に排除措置命令や課徴金納付命令を出す方針。

 官製談合防止法は、(1)談合を明示的に指示(2)受注業者を指名(3)予定価格などの情報の漏洩(ろうえい)、を発注側の職員の関与行為の3類型として定めている。

 調査の結果、こうした行為が認定され、再発防止策がとられないなど特に必要と考えられる場合、公取委は発注機関に改善措置を要求できる。

 同法はこれまでに北海道岩見沢市と新潟市の発注工事、日本道路公団発注の橋梁工事の3例で適用されている。

http://www.asahi.com/national/update/0106/TKY200701060213.html