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2007年01月05日(金) 00時00分

金正日“永世指導者”宣言…後継レース窮余の口止め?ZAKZAK

 “永世指導者宣言”は「政権に近い関係者の話」として、一部全国紙が報じた。それによると金総書記は昨年10月下旬、党幹部らに「私は今後も長期間、最高指導者としてやっていける。80歳も90歳も可能だ」と述べた。幹部らの多くは「あと15年は第一線で活動する。それまでは後継者問題を口にするなと総書記が意思表明した」と受け止めたという。

 また、同紙は昨年11月末の段階で「民族最大の名節」として盛大に催される金総書記の生誕祝賀行事も中止が通達されたと報じている。

 静岡県立大国際関係学部の伊豆見元教授は、「2月16日まで待てばわかる話だが、今年は65歳の節目。すでにいろいろ、準備は進んでいるだろうし、(祝賀行事を)ピタッとやめるということになれば不思議で、(意味は)大きい」と、行事の中止報道に注目する。

 さらに、「4月15日の金日成(イルソン)元主席の誕生日は、『民族的な慶事』として盛大に祝典を行う。朝鮮人民軍創建75周年(4月25日)でも(祝典を)行う。北朝鮮は5とか10といった数字は特別扱いするので、金総書記の65歳も、本来ならば盛大に祝うはずのものだが…」と首をかしげる。

 確かに労働新聞など北官製メディア3社の共同社説には「今年、われわれは偉大な首領金日成同志の生誕95周年を一大民族的慶事として意義深く迎える」とあり、4・15の祝典は確実の模様。民間の北研究家は「北が発行した今年のカレンダーをみると例年通り、2・16は他の祝日とは別格の二重の赤字となっており、『祝日』は確定だ。祝典の取りやめは昨年初夏に起きた水害でモノ不足となり、人民に与えるプレゼントが枯渇したのでは」と推測する。

 一方、後継者に対する“口封じ”について「長男を担ぐ勢力と、二男を担ぐ勢力の間に確執があり、金総書記が抑えるために発言したのだと思う」というのは、コリア・レポート編集長の辺真一氏。

 現在、金総書記の跡取りとして女優の故・成恵琳(ソン・へリム)夫人との間に生まれた長男、正男(ジョンナム)氏(35)、舞踊家の内妻で死亡説が有力な高英姫(コ・ヨンヒ)さんとの子で二男の正哲(ジョンチョル)氏(26)、三男の正雲(ジョンウン)氏(23)の名前が挙がっており、内部で激しい後継者レースが続いているとされる。辺氏はこう解説する。

 「後継問題は万が一のために決めておくもの。金総書記が長生きをすれば、父親と同じように最高指導者のままでしょう。すでに金総書記は後継者について腹を決めている。だけど『オレがまだ健在だから後継者であまり騒ぐな』といったところ。もうどちらかで決まっており、今回の発言が後継問題に影響するかというと、そうではない」

 クーデター説や外患説が渦巻く北。何があってもさほど驚きはしないが…。 

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ZAKZAK 2007/01/05

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