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2007年01月05日(金) 00時00分

みずほ、日興買収観測…資金調達に支障、年末に接触ZAKZAK

 【資金調達】

 日興をめぐるいろいろな情報が錯綜しだしたのは、昨年12月29日。まず「金融市場で日興の資金調達がスムーズにいかなくなっている」(銀行関係者)との情報が金融界を駆けめぐった。

 銀行や証券会社などは必要に応じて、金融市場で短期の資金を調達している。手元資金に余裕があるところが資金の出し手となり、当座の決済用資金などがほしいところに貸し付ける。

 資金をほしがっている金融機関に問題がなければ、日銀が誘導目標にしている金利0・25%程度で貸し出されるが、不正会計など信用に影響する出来事が起きると、状況は一変する。そのあたりを先の銀行関係者がこう解説する。

 「金融市場で資金の出し手になっているのは地方銀行や信託銀行、生保などですが、日興の不正会計問題が発覚した昨年末以降、出し手の一部が『(この問題がきちんと解決するまで)日興には資金を出せない』との立場をとるようになった。これにより日興の金融市場での資金調達がスムーズにいかなくなった」

 金融市場での“日興離れ”は予想以上にシビアなようで、ある金融機関の資金担当者からはこんな話も伝わってくる。

 「なんとしても資金を調達しなくてはいけない日興は、調達の際の金利を(日銀の誘導目標の)0・25%から引き上げてでも資金を取ろうとします。それだけ資金の調達コストがアップする(資金の出し手はもうかる)ことになりますが、それでも出し手が現れない。市場の日興に対する不信感は深刻です」

 もちろん、このことが日興の経営危機に結びつくことは現状ではない。「日興は国債を大量保有しており、この国債を担保にすれば資金は調達できる」(金融機関の資金担当者)ためだ。

 とはいえ、信用が命の銀行や証券会社が、信用失墜によって金融市場から資金をスムーズに調達できない状況は、異常事態ともいえる。

 【みずほと接触】 

 そんな中で駆けめぐったのが、「日興とみずほが昨年末、水面下で接触した」との情報だ。

 年の瀬に情報収集に走ったある大手金融機関の企画担当幹部が次のように解説する。

 「日興とみずほが水面下で接触したとの情報をキャッチして探ってみたが、経緯がはっきりしない。みずほ側は『日興の方から接触してきた』とし、日興側は『みずほの方から接触してきた』としている」

 もともと日興とみずほは親密な関係にある。平成17年1月、みずほフィナンシャルグループ傘下のみずほコーポレート銀行が日興コーディアルグループの株式9400万株(その後、2株を1株にする株式併合で4700万株)を取得。出資比率は4.82%で、筆頭の米シティグループ(4.87%)に次ぐ2番目の大株主となっている。

 この資本提携を機に、日興コーディアル証券とみずほ証券の広範囲にわたる業務提携なども打ち出した。

 「みずほフィナンシャルグループは傘下にみずほ証券のほか、リテール(個人向け)のみずほインベスターズ証券、新光証券の3社を持つが、規模の面では見劣りする。この3社の再編はいまだ白紙の状態で、日興との提携は証券業務拡大の柱として期待されている」(関係者)

 仮にみずほグループの証券会社3社と日興が一緒になったら、預かり資産残高で業界トップの野村(約77兆円)と肩を並べることになる。

 両社の接触をめぐっては、「みずほが、シティ保有の日興株の買い取りを希望しているとの未確認情報もある」(大手金融機関の企画担当幹部)という。

 日興とみずほの動向から目が離せない。  

ZAKZAK 2007/01/05

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_01/t2007010531.html