記事登録
2007年01月05日(金) 10時17分

滋賀県、旅券発給せず DV避け無戸籍の少女京都新聞

 暴力をふるう前夫に住所を知られるのを避けるためとして戸籍をつくっていない滋賀県内の50歳代女性の長女(16)が行った旅券の発給申請に対し、県は4日、「旅券法上、戸籍謄本は不可欠」などとして、発給を見送った。女性の支援者らは「長女には住民票もあり、日本国籍であることは明らか」と、県の対応を疑問視している。
 女性は前夫から暴力を受け、離婚手続きを行わずに家を出た。その後出会った男性との間に長女が生まれ、裁判で離婚も成立した。しかし、民法の規定では、長女は前夫の子と推定されるため、戸籍を得るには裁判で実子でないことを確認する必要がある。女性は「裁判で現住所が知られれば、危険が及ぶおそれがある」として、長女の戸籍をつくっていない。
 長女はこの日、出生証明書や実父の保険証などを添えて発給申請を行った。県は「国外で肉親が亡くなるなど、戸籍なしでも発給できる緊急的なケースに当たるか判断できない」としている。
 女性を支援する「民法と戸籍を考える女たちの連絡会」(神戸市)のながきのりこ代表は「人道的な立場から考えても、緊急措置と同じ対応はできるはず」と話している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070105-00000009-kyt-l25