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2007年01月05日(金) 10時03分

関空未公開株で詐欺容疑 偽上場話で勧誘、被害数億円か朝日新聞

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「新規上場予定株」などとうたい、関空会社の未公開株購入を勧める投資会社のパンフレット

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 関西空港を運営する「関西国際空港会社」(村山敦社長)の未公開株の一部が金融ブローカーらに流出し、偽の配当や上場話で一般の個人投資家らに高値で売却されていることが関係者の話でわかった。関空株は配当や上場の予定はなく、市場で売却もできないが、投資家は「値上がり確実」などと誘われて、発行価格(1株5万円)の約10〜20倍近い額で買わされている。被害が数億円に上る恐れもあり、大阪府警関西空港署が詐欺容疑で捜査している。

 関係者によると、流出が確認されている関空株は、関空会社が地元企業向けに割り当てた株式の一部で、大阪市や京都市などの民間企業3社が数十株単位で所有していた計約700株。

 05年10月ごろから、資金繰りなどを理由に金融ブローカーらに売却され、投資会社などに渡った。うち約540株分が1株単位に分割され、個人投資家ら計約290人に名義変更されているという。

 投資会社が投資家へ販売している価格は、発行価格を大幅に上回る1株45万〜95万円。投資会社は購入勧誘の資料で、関西空港2期事業が進み、第2滑走路が今年8月に運用を始めることや、NTTの株価が上場後に高騰した事実などを紹介。「来期より配当が望める」「縁故株で限定販売」などと記し、関空株の上場予定先として東証1部や2部、ジャスダックなどを挙げている例もある。

 関空会社には05年末ごろから、「本当に上場するのか」などと問い合わせが相次ぎ、同社は、勧誘業者が株式売買に必要な証券業の登録がない業者だったことから関空署に通報するとともに、弁護士を通じて業者に警告書を送っている。

 関空署などの調べでは、東京都内の投資会社など無登録の計11業者が勧誘していることが判明。一部の業者から詐欺や証券取引法違反(無登録営業)容疑で販売の経緯や勧誘方法について事情を聴いている。

 関空会社は非上場で、株式は国と大阪府などの地元自治体が全体の約88%を所有し、残りの約12%を企業や個人が持っている。05年3月期決算で単年度黒字を達成したが、空港建設費として1兆2千億円の有利子負債を抱え、株式市場への上場や配当の具体的な計画はない。売買自体は禁じられていないが、株式を市場で売却することはできない。

 関空株を1株70万円で販売した東京都内の投資会社社長は、朝日新聞の取材に対し「勧誘資料の記載は株主配当をすべきだという私の意見だ」として、詐欺の疑いを否定している。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200701040060.html