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2007年01月04日(木) 00時00分

若手警官 セットで特訓 『団塊』の退職対策 習うより『慣れよ』 東京新聞

 団塊世代が大量退職する二〇〇七年問題対策として、警察庁は若手警察官の現場対応力を高めるため、テレビドラマ撮影のセットのように飲食店や事務所などの内部をリアルに再現できる「実戦訓練用セット」を、新年度から全国の警察学校に配備する方針を決めた。

 警察庁によると、都道府県警では本年度から十年間で計約十万四千人が退職し、定員の約四割が入れ替わる。短期間で若手らの戦力アップを図り、ベテランの抜けた穴を埋めることが課題になっている。

 訓練セットは壁やドア、窓などの部材があり、体育館で短時間に複数の部屋を組み立てることが可能。屋根はない。中に机やいすなどを置き、交番のほか、事件現場に見立てたスナック、店舗、事務所などを再現する。

 新人や昇任した若手を対象に、不審者の職務質問、激しく暴れる犯人の逮捕などの技能を、本番さながらに訓練。瞬時の判断力や、狭い室内での警棒、刺股(さすまた)の使用法なども身に付ける。人質立てこもり事件の突入訓練にも役立てるという。

 警察庁は「セットを活用し、教官が犯人役を務めるなどロールプレイング方式で事件現場を疑似体験すれば、実戦感覚を磨ける」としている。

 訓練セットは一式約四百万円で、都道府県警や管区警察局ごとに四年計画で順次、配備する。新年度は警視庁や愛知県警などの十三校の見込み。

 警察が現場対応力の向上に力を入れる背景には、警察官に対する公務執行妨害事件が、ここ十年間で三倍近くに急増している事情もある。実戦的な教育に力を入れる一方、警棒を長くし、耐刃防護服を強化するなど装備の改良も進めている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070104/eve_____sya_____001.shtml