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2007年01月04日(木) 00時00分

07相場2万円台のワケ…「買収」拍車でアゲアゲZAKZAK

 株式市場にとって注目の年となる平成19年がやってきた。今年は米大統領選を翌年に控えた年。過去のデータでは、米大統領選の前の年は株価が大きく上昇する傾向がある。日本の平均株価は12年以来7年ぶりに2万円を突破するのだろうか。株価動向や注意点について、7人の専門家がズバリ予測する。

 【年末上昇説】

 平均株価が最後に2万円台に乗せたのは、IT(情報技術)バブル期の平成12年4月。その後、大手銀行が不良債権処理に走り、大手企業も経営破(は)綻(たん)に追い込まれかねない状態となった15年春には、7000円台まで下落。その後、3年半の歳月をかけて1万7000円台まで回復してきた。

 そして今年。「年末に2万3000円もありうる」と強気なのは、株式評論家でポコ・ファイナンシャルオフィス代表の植木靖男氏だ。

 「昨年末に個人投資家がほとんど買っていないのに株価が上がった。経験則からいって、これは大相場の始まりを示している」と語る。

 新光証券エクイティストラテジストの瀬川剛氏が株価上昇の要因として指摘するのが、「三角合併の解禁」だ。三角合併とは、外資が在日法人を通じて、現金ではなく自社株を使って日本企業を買収できる制度。買収に巨額の現金が必要でなくなるため、外資が日本企業を買収しやすくなる。買収側の買いに加え、投資家の思惑買い、国内企業側の買収防衛策などが株高要因になるというわけだ。

 また、年末に2万2000円と予測するSMBCフレンド証券投資情報部の松野利彦次長は「平成8年6月のバブル崩壊後の最高値2万2666円(終値ベース)を上回れば、デフレの完全脱却を示すことになる」とする。

 7人中4人が今年中に2万円達成を予測、うち3人は年末に大台に乗せるとみている。

 また、2万円には届かないとみる2人のうち、日本テクニカルアナリスト協会理事の安部雪春氏も「平成15年の大底を確認し、長期上昇トレンドに乗っている」、ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの櫨(はじ)浩一氏も「日本経済は年後半になって再び景気回復の動きがはっきりしてくる」と、年末高を予測している。

 【年末下落説】

 もちろん、投資家にとっていい話ばかりではなく、今年後半に株価が下落するとの見方もある。

 リテラ・クレア証券情報部長の井原翼氏は、6月ごろに2万円乗せを予測する一方、「利上げや米国の設備投資の伸び悩み、景気減速などが波乱要因」となり、9月から10月に1万6000円まで下がるとみる。

 クレディ・スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏は、8月から9月に1万8500円まで上がった後、10月以降は「第1に、日銀の追加利上げが冷や水になる。第2に、与党が社会保障費削減の方向性を打ち出して高齢者消費の足かせになり、さらに平成20年の中国経済のピークアウト予想が強まる」ことなどが重なり、年末にかけて1万6500円まで下落すると予測する。

 【懸念要因は】

 株価の見立ては分かれるものの、懸念材料が存在することでは各氏とも共通している。注意すべき点としては、次の要因を挙げる。

 「原油高」=瀬川、松野、安部各氏

 「米国経済の急減速」=松野、櫨、白川各氏

 「日銀の大幅利上げ」=松野、白川各氏

 「参院選での与党大敗」=瀬川、松野、安部各氏

 また瀬川氏は、1年間の延長が決まった証券税制の優遇措置について、「平均株価2万円には優遇措置の恒久化が必要条件」とクギを刺す。

 「株は平成20年に天井(上昇のピーク)となるので、前年の今年は安心して買える」(植木氏)など、総じて楽観的な見通しが多い。しかし、予想通りに動けば苦労しないのが株価。さて、どのような動きになるのだろうか。

ZAKZAK 2007/01/04

http://www.zakzak.co.jp/top/2007_01/t2007010431.html