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2007年01月03日(水) 00時00分

天下り、林野庁が要請 談合疑惑の公益法人に 東京新聞

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(川崎市)発注の林道整備コンサルタントをめぐる談合疑惑で、調査業務を多数受注している林野庁所管の公益法人に、同庁が以前から天下りの受け入れを要請していたことが明らかになった。同機構は過去の受注実績や天下り状況に基づき、違法な受注配分を行っていた疑いが持たれており、林野庁がそうした実態を把握した上で、天下りの受け入れを求めていた疑いが出てきた。

 林道整備に必要な測量や環境調査などのコンサルタント業務は、「林業土木コンサルタンツ」(東京都文京区)や「森公弘済会」(千代田区)など、林野庁所管の六つの公益法人が有力な受注先となっており、二〇〇五年四月時点で、林野庁を中心に三百人近い中央省庁の天下りOBが在籍。このほか受注上位の民間コンサルタント会社にも役員や幹部職に同庁OBが複数在籍しているとされる。

 関係者によると、受注上位の公益法人に天下っている同庁OBが定年近くになると、林野庁林政課などが「〇〇さんはそろそろ定年なので、代わりに〇〇さんを受け入れてほしい」と、具体的な名前を出して新たなOBの受け入れを要請してくるという。

 いずれも口頭で行われ、文書は出されないという。

 ある公益法人の幹部は林野庁から天下り要請があることを認めた上で、「最近は経済状況が厳しいので、林野庁の依頼があっても『あと二年間、これまでの半額の年収で働いてもらう』と、新たなOBの受け入れを拒むこともある」と話す。

 上位の受注実績を誇る民間コンサルタント会社の幹部は「OBの人脈を使えばいろいろと情報を取ることができる」とメリットを強調する。

 一方、別の民間企業の担当者は「こちらから頼んでいないのに、林野庁は露骨に天下りの希望人数を示し、『〇人取ってほしい』と言ってくる」と証言。「OBの年収が一千万円なら経費は三千万円かかる。仕事を相当受注しなければ利益が出ない」とも話し、天下りの受け入れは経営を圧迫すると指摘している。

 林野庁の話 在職中に培った経験や能力に対する需要に応えるため、企業や団体から再就職の要請があった場合、職員に紹介している。しかし、再就職の受け入れを要請することはない。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070103/mng_____sya_____013.shtml