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2007年01月03日(水) 21時08分

フセイン元大統領処刑に抗議デモ ビデオ流出を調査朝日新聞

 イラクのフセイン元大統領の処刑に、元大統領支持者の多いイラクのスンニ派地域に加え、中東各地でも抗議デモが続いている。処刑台の元大統領が罵声(ばせい)を浴びる場面をおさめたビデオも流出。アラブメディアは「これは処刑ではなく報復」と伝えた。処刑を機に「各派の和解」を演出しようとしていたイラク政府は、撮影の経緯の調査を始め、火消しに躍起になっている。

 フセイン元大統領の出身地ティクリート周辺やバグダッドのスンニ派地域などでは、処刑後から今月2日にかけて追悼集会やデモが相次いだ。ヨルダンやパレスチナ自治区、イエメンでもデモがあった。

 携帯電話のカメラで撮ったとみられる処刑場面の映像がインターネットに流出したことも、火に油を注いだ。映像では、立会人らが「地獄に落ちろ」などと叫び、フセイン政権下で処刑されたシーア派指導者らの名を連呼。元大統領は「それでも男か」と皮肉った。

 アラブ圏紙アルハヤトは3日「処刑のやり方も時期も、シーア派の報復感情を明確に示している」と論評した。

 イラク政府は2日、映像流出の経緯の調査を始めた。立会人の一人だったファルーン検察官は英BBCテレビに2日「2人の高官が携帯電話を持ち込んでいた」と語った。処刑には被害者の遺族も立ち会ったという。

http://www.asahi.com/international/update/0103/011.html