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2006年11月28日(火) 00時00分

【関連】私大前納金訴訟 消費者契約法に沿い明暗 東京新聞

 大学に入学しなかったのに、前納した授業料は戻ってこない−。そんな「不合理さ」に納得できない元受験生らが全国各地で起こした前納金返還訴訟。最高裁第二小法廷が二十七日に示した初判断は、消費者の利益を守るために制定された消費者契約法の施行前後で大きく明暗が分かれた。 

 同法が施行されたのは二〇〇一年四月。それ以前に受験した京都産業大や大阪医科大の元受験生は、同法の適用を受けず、訴えが認められなかった。

 医学部などの前納金は高額で、大阪医大の元受験生が入学前に納めた授業料は六百十四万円に上る。判決では、大学側は授業料を返還しなくてもいいとされたが、元受験生の辞退後に大学側は別の受験生を追加合格させて定員を確保しており、二重取りの感もある。

 同大のケースについては、滝井繁男裁判官が反対意見で「辞退後に大学側が所定の入学者を得たにもかかわらず、授業料の返還を拒否するのは著しく信義に反する」と大学側を批判した。

 第二小法廷は、各ケースを細かく検討。〇二年以降の受験でも、四月以降に入学を辞退した中央大や東京理科大などの元受験生は返還を認めなかった。一方、四月以降に入学を辞退していても、入学要項に「入学式を欠席した場合は入学できない」「四月二日に手続きしなければ入学許可を取り消す」などの記載があった同志社女子大や東洋大では返還を命令。職員から「入学式に出なければ入学辞退として扱う」と告げられていた武蔵工業大の元受験生にも、例外として返還を認めた。

 法施行後、三月以前に辞退を申し出た北里大などの元受験生は返還を認められた。

 しかし、推薦入試で合格した後、三月十三日に辞退を申し出た日本大の元受験生のケースは「大学側が代わりの入学者を容易に確保できたかどうか」を見極めるため、審理を東京高裁に差し戻した。

 判決後に会見した元受験生側の松丸正・弁護団長は「消費者契約法の威力をまざまざと見せつけた」と判決を評価した。一方で弁護団には「今回の判決で入学金の高額化が懸念される」(事務局長の塩谷崇之弁護士)との見方もある。

 大手予備校「河合塾」の神戸悟・教育研究部チーフは「大学間の競合もあり、入学金を高くするにも限度がある。私学の場合、収入を前納金に頼ってきたが、今後は学生確保に向けたサービスの質が一段と問われる。判決はサービス向上のいい機会だ」と分析した。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061128/mng_____sya_____007.shtml