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2006年11月04日(土) 12時33分

佐藤県政の残像:新知事が背負う課題/2 原子力政策 /福島毎日新聞

 ◇“重し”外れ軟化あるか
 02年に発覚した東京電力のトラブル隠し以降、プルサーマル計画や原発増設など県内での原子力推進施策はストップしたままだ。プルサーマル計画は今年、佐賀県と愛媛県で実施が決まったが、県が原子力政策で国や東電に強硬な立場を貫いたのは佐藤栄佐久前知事の「頑固さ」があったからだと言われている。
    ◇   ◇
 「凍結解除に向け、プルサーマル計画のあり方を議論する時期に来ている」。今年6月の富岡町定例議会。一般質問に対する遠藤勝也町長の答弁は波紋を呼んだ。
 全国初の事前了解を出していた県と大熊町、双葉町は02年、了解を白紙撤回した。発言は双葉郡の原発立地4町の首長として、白紙撤回後では初の軌道修正を促す内容だった。これに対し、佐藤前知事は「今までの考え方を変える気持ちはない」と突っぱね、これ以降具体的な動きにはつながっていない。
 原発の構造物にひびが見つかっても安全上問題がなければ運転を認める「維持基準制度」を、原発立地地域8町村で構成する協議会は今年1月に容認。自民党県連も検討に入ったが、県側の動きはない。東電から地元に百数十億円もの漁業補償が支払われたものの、トラブル隠しで白紙になったまま福島第1原発7、8号機の増設問題は、県庁内では議論もされていない。
 立地町の役場職員は「佐藤前知事の姿勢が変わらない限り、原子力政策の推進は望むべくもなかった」と語る。
    ◇   ◇
 仕事の9割が原発関連の双葉郡の電気設備会社社長は、知事選で誰に投票するか迷っている。「原発推進のはずの自民党推薦候補は『お人形さんにはならない』と、公開討論会でもプルサーマル計画に反対の「×」を出した。参院選で応援してきた民主党推薦候補は「○」を出したが、原発に消極的なイメージの強い社民党も推薦しており悩ましい」と語り、「この辺に住んでいる人なら、原発賛成ならだれでもいいと思っているはず」とも話す。
 原発立地町の役場職員は、「佐藤知事以外なら誰だっていい」と話す。前知事から「背を向けられてきた」という意識の一方で、「木戸ダム」(楢葉町)は汚職の舞台になった。「本人に会ったら、『あなたが目指したモノは何だったのか』と言いたい」と話す。
 東電の呼びかけで03年2月に発足した立地4町から選ばれた民間委員と学識経験者、東電、原子力安全・保安院関係者が参加し開かれている「県原子力発電所所在町情報会議」。トラブルがあった際に直接住民に説明し、地元の意見を伝える場になっているが、県に参加を要請してもかたくなに拒否されてきた。
 県原子力安全グループは「県主催の会議で地元との話し合いの場は設けている」と説明するが、この役場職員は「本当に『安全・安心』を目指すのなら、話し合いの場は多ければ多い方がいい。県職員は思考停止状態に陥っている」と不信感を隠さない。
    ◇   ◇
 前知事の原子力政策への強硬な態度を評価する声は少なくない。ぶれない姿勢の“重し”が県政の舞台から退場、新知事はどのような立場を取るのか、関係者はかたずをのんで見守っている。

11月1日朝刊
(毎日新聞) - 11月4日12時33分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061101-00000102-mailo-l07