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◆神事別々「早く解決を」地元住民◆
羽咋市寺家町の気多大社には現在、宮司が2人いる。神社本庁が8月末、それまでの宮司を懲戒免職にして、新宮司を任命したが、免職された宮司側は反発。事務の引き継ぎを拒否したうえ、地位保全を求める仮処分を金沢地裁に申請。争いが法廷に持ち込まれる一方で、同じ神事を2人の宮司が別々に行う異常事態に陥っている。
(長田豊)
懲戒免職されたのは、前宮司の死去に伴う82年に就任した三井秀夫氏(74)。神社本庁などによると、三井氏は就任時、「65歳になったら宮司を辞める」という覚書を当時の責任役員全員と交わしたが、65歳になった97年以降も辞任せず、一部役員らと対立した。また三井氏側は昨年9月、神社本庁からの離脱を決め、県に神社規則の変更を申請。同11月にいったん認証されたが、神社本庁が文部科学省に審査請求した結果、今年5月、「変更後の規則に不備がある」として同省が県の認証を取り消した。
神社本庁側は7月末、「覚書を守らなかった道義的責任は免れず、その後も神職として許されない行動を続けてきた」として、三井氏を8月29日付で懲戒免職し、後任に県神社庁長で金沢市・安江八幡宮宮司の厚見益樹氏(77)を兼任宮司とする人事を決定した。
8月30日以降、厚見氏らは約2週間にわたって毎日、事務の引き継ぎや話し合いを求めて同大社を訪れたが、三井氏側は社務所への立ち入りも拒否。この間、9月1日の同大社の例祭「御贄祭(みにえさい)」では、押し問答の末、三井氏は拝殿の中で、厚見氏は拝殿の外でそれぞれ神事をした。
三井氏側は9月中旬、「離脱を防ぐ目的で宮司を解任するのは宗教法人法に違反する」として宮司の地位確認や厚見氏の境内への立ち入り禁止などを求める仮処分を申請。「明治神宮の離脱が背景にあり、神社本庁に不満を持つ全国の神社への見せしめだ」などと主張している。
これに対し、神社本庁側は「離脱と免職は別問題。もともと内部の紛争だった問題を解決しようとせず、崇敬者の離反を招くなど、宮司としての適格性に問題がある」と反論。法廷で全面的に争う構えを見せている。
気多大社は三井氏就任後、女性誌に大きな広告を出したり、電子メールで恋愛祈願を受け付けたりと「縁結びの神社」をアピールする様々な事業を展開し、全国から若い女性の参拝が増加。昨年末には縁起物やお守りのインターネット販売も始めた。だが、7月に神社本庁が全国の神社向けにネット販売自粛の通達を出すなど「神社の尊厳に配慮していない」と批判の声も出ていた。
今後、同大社では新嘗祭(にいなめさい)(11月)や野生の鵜(う)の飛び方で吉凶を占う鵜祭(12月)など、大きな神事が続くこともあり、地元住民は争いの行方に不安を募らせている。近くに住む60代の自営業男性は「このまま長引けば悪いイメージが定着してしまう。とにかく早く解決してほしい」と話した。
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【気多大社】 能登一の宮。祭神は大国主神。社伝では創建2100年を超え、戦前は国幣大社とされるなど北陸屈指の社格を誇る。戦後は1946年に設立された宗教法人、神社本庁が宮司の任免権を持つ別表神社とされる。神社本庁は全国約8万の神社のほとんどを包括下に置くが、靖国神社、日光東照宮、伏見稲荷大社など傘下に入らない有力神社もあり、04年には明治神宮も離脱した。
http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000000609170005