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2006年08月27日(日) 08時34分

浴室乾燥機の火災24件、消費者に周知されず朝日新聞

 三菱電機(東京)などが製造した電気式の浴室換気乾燥暖房機で01年以降、火災が24件相次ぎ、発生直後からメーカー側が経済産業省に事故を繰り返し連絡していたにもかかわらず、同省が今年6月まで消費者への呼びかけなどの有効な対策をとっていなかったことが分かった。三菱電機なども取り付け工事の際の問題という認識で、消費者に向けた注意喚起は行わなかったという。この間、全国各地で火災が続き、山形県では民家が全焼する被害も出た。

 同省は、パロマ工業(名古屋市)の湯沸かし器でもガス会社から死亡事故の情報を得ながら、20年以上対策がとれなかった。パロマ事故を受け、同省は「製品安全対策に係る総点検委員会」を設置。浴室暖房機の事故報告の経緯も調査し、月内にまとめる「点検結果」に盛り込む方針だ。

 同省によると、24件の火災のうち三菱電機が製造した暖房機が23件を占めた。電源配線を屋内配線と接続する時にはんだ付けや絶縁処理をしなかったため、接触不良で熱をもち、発火したのが原因とみられている。

 最初の火災は01年1月。神奈川県相模原市で、三菱製の暖房機を組み込んだヤマハリビングテックのユニットバスで起きた。

 三菱電機によると、消防からの調査依頼で事故を把握。3月に経産省製品安全課に連絡し、事故を正式に報告すべきか相談したが、「製品の欠陥が原因ではないので、報告は不要」などとする回答があったという。

 その後も、三菱製の暖房機を使ったINAXのユニットバスなどで火災が相次いだ。

 三菱、INAX、ヤマハ社は04年7月、同省で電気工事を担当する電力安全課や浴室を担当する日用品室などに文書を提出し、「電気工事の接続ミス、不具合があった」などと報告。不良工事が多いとみられたことから、施工の注意書きを工事業者に配るなどの対策を決め、製品の仕様も変更したという。

 しかし、この時点で同省は一般利用者に危険性を知らせず、メーカーの対策の効果もチェックしなかった。その後も、対策をとった以前に施工した機器で火災が続き、05年5月には山形県長井市で民家が全焼した。

 今年3月、日用品室が業界団体の日本浴室ユニット工業会に事故発生状況の調査を要請し、被害の広がりを把握。同省は6月30日、事故を公表して消費者に注意を呼びかけ、メーカーは相談窓口を設けた。この間にも5月に1件、6月に2件の火災が起きた。

 同省幹部は「製品の欠陥と工事の不良は担当部署が分かれ、そのすき間に落ちてしまった形だ。事故情報がそれぞれの担当に入ったが、共有しきれなかった」と対応に問題があったことを認めている。

 三菱電機は「製品ではなく施工の問題で、バスユニットメーカーや住宅設備会社など複数の業者もかかわり、行政の指導がないと消費者への連絡は難しかった。結果として対応が十分だったかは考えないといけない」としている。

http://www.asahi.com/life/update/0827/004.html