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2006年08月27日(日) 03時07分

<天下り規制>政府 撤廃検討 代わりに刑事罰で規制強化毎日新聞

 政府は、国家公務員制度改革の一環として官民間の人事交流を促進するため、公務員の民間への天下りを事前規制している現行制度を撤廃する検討に入った。その代わりに、再就職した公務員OBが出身官庁に便宜供与を求めることなどを禁止行為として明示し、違反には罰則を設けるなどして事後規制を強める方針だが、OBの口利きなどを防止できるか否かは不透明だ。天下りの受け入れ自体が便宜供与との指摘もあり、事前規制の撤廃は「天下りの拡大につながるだけ」との批判も出ている。
 公務員の天下りは国家公務員法で規制されており、人事院が承認した場合を除き、退職前5年間の職務と関係の深い業界への再就職は2年間禁止されている。ただ、出身官庁にいる元部下との接触を禁止するような規定がないため、2年を過ぎた後に天下ったOBが出身官庁へ便宜供与を働きかけることは可能で、事前規制の抑止効果を疑問視する声は少なくない。
 見直し案ではこの規制を撤廃し、その代わり、民間へ移った公務員OBによる口利きなど、出身官庁へ便宜供与を求める行為を禁止する。罰則として懲役や罰金などの刑事罰も検討している。
 天下り規制の見直しは、小泉純一郎首相が中馬弘毅行革担当相に指示。中馬氏は9月中旬に試案を取りまとめ首相に提出する。試案に基づき関連法を改正するかは次期政権の判断に委ねられる。
 中馬氏は「現行制度では官製談合などの汚職が後を絶たない。根本的に制度を改めたい」と事後規制へ方向転換する利点をアピールする。
 しかし、政府内には「民間企業が天下りを受け入れるだけで官庁としては十分メリットがある。事後規制でOBの働きかけを防ぐのは困難で、事前規制の撤廃は問題だ」との見方も強い。【小林多美子】
 ◇癒着深める恐れも
「関係企業への天下り2年間禁止」の撤廃は、薬害エイズ事件や証券・銀行不祥事など、過去の官民癒着の反省を無駄にするものだ。
 防衛施設庁は官製談合事件を機に、再発防止のため、関係企業への再就職自粛期間を2年から5年に延長した。官僚が所管の公益法人にいったん待機し、その後天下るという「抜け道」を編み出し、規制が骨抜きになっていたためだ。
 逆にみれば、天下り禁止期間は不十分とはいえ、一定の歯止めになっていたわけで、期間延長が癒着を断ち切る一策であることを示している。期間撤廃は時代に逆行するものといえるだろう。
 見直し案では、代わりに事後規制を取り入れ、OBによる口利きなどの行為を禁止し、罰則を設けるという。しかし「口利きなど密室の行為の立証を官庁側が行うのは無理。検察や警察が取り締まるしかないが、とても手が回らないだろう」と、官製談合を担当したことのある検察幹部は、実効性に疑問を呈す。
 結局、公務員のリストラなどで再就職を促進したい官庁側と、「即戦力」をすぐに欲しい民間との利害が一致した案と言わざるを得ない。【斎藤良太】
(毎日新聞) - 8月27日3時7分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060827-00000006-mai-pol