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2006年08月26日(土) 20時48分

「携帯にメール」自治体導入加速読売新聞

山間部では敬遠も 費用対効果に課題

市民課の担当者がパソコンからメール配信する態勢を取っている横手市
 災害や犯罪などに関する緊急時の情報提供で、公共機関が携帯電話のメール配信サービスを導入する動きが活発化している。4月以降、5市町内で新たにサービスが始まり、速報性や耳の不自由な人にも利用できるといった点から評価する声もある。しかし設備などに多額の費用が必要で、一部の利用者にメールが届かない“トラブル”も起きるなど課題も少なくない。広大な山間部を抱える県内では、導入を見送る自治体も出ている。

 鹿角市と小坂町を管内にもつ鹿角広域行政組合消防本部では、4月から災害情報の配信を始め、これまでに約500人が登録した。

 秋田市と横手市でも7月から同様の配信サービスを開始し、それぞれ700人、1500人超と、着実に登録者数を増やしている。連続児童殺人事件が起きた藤里町でも、今夏から不審者などの防犯情報を配信するシステムを導入した。

 サービスでは、地震や台風などの災害や悪質な訪問販売、車上狙いの発生といった情報を伝えるほか、運営主体となる自治体や消防の職員の非常招集、地元消防団員への出動要請にも援用できると期待されている。事前に自分のメールアドレスを運営側に送信して利用を申し込むと、配信を受けられる。

 しかし、コストや費用対効果が課題になっている。

 秋田市ではサービス開始後、実際にメールを配信した回数は24日現在でわずか2回。一方、運営費は、メールサーバーと、過去の災害履歴などを電子地図上で管理する「GISサーバー」の機器リース代で月約23万円かかる。年明けからはシステムの保守費も加わり、月に計約38万5000円を負担するという。

 秋田、横手両市では、サービス開始直後から「登録してもメールが届かない」という問い合わせも寄せられている。迷惑メール対策で、携帯電話がパソコンからのメールを拒否する設定になっていたためという。両市ではホームページなどで設定を変えるよう呼び掛けているが、なかなか周知が図れないのが現状だ。

 こうした問題から、導入を控える自治体も少なくない。

 井川町では全29集落のうち、携帯電話の不感地帯が少なくとも8集落にある。メールサービスを開始するには、新たに多くの電波中継用の鉄塔を建設しなければならず、導入を取りやめた。各家庭に設置されている従前の有線放送システムなどを通じ、情報を提供するとしている。

 仙北市でも今年度に導入を検討したものの、初期投資にかかる200万円以上の費用がネックになった。非常食の備蓄など防災関連の問題が山積し、優先順位が低いと判断したという。

 メール配信サービスを開始した横手市でも、市内に6か所の不感地帯がある。同市の担当者は「様々な形で情報を伝えることが大事」と話し、こうした地帯では衛星携帯電話などを配置して補っているという。公共機関側には、多様な伝達手段を確保する意識も求められる。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/akita/news001.htm