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2006年08月26日(土) 19時47分

指静脈画像で受刑者管理へ 法務省が来春導入朝日新聞

 法務省が、刑務所に収容した受刑者から指の静脈画像を採取し、個人を識別する生体情報として利用することを決めた。来春開設される山口県美祢(みね)市の新型刑務所にシステムが導入される。一生変わらない個人情報を国が新たに集めることになるため、「監視社会」化に道を開くと危惧(きぐ)する声もあがっており、日本弁護士連合会(平山正剛会長)は25日、「国会でも全く問題提起されていない。慎重に議論する必要がある」との意見書を同省に提出した。

 美祢市の新型刑務所は、警備会社のセコムが中心となる民間企業グループと法務省による初の共同運営方式をとる。これまでの刑務所と違って、受刑者の行動の自由を大幅に認めるのが特徴。看守は原則として受刑者の移動に付き添わず、受刑者の服の胸につけたICタグが発信する位置情報を使って、中央警備室のモニターで動向を監視する。

 指静脈による本人確認を行うのは、受刑者が自分のICタグを付けているかどうか、常に確認するため。例えば受刑者同士が風呂上がりにタグごと服を交換すると、ともに別人になりすまして、部屋を入れ替わる恐れもある。こうした事態を防ぐため、入所時に赤外線などを指に照射し、静脈のパターンを画像として登録。ICタグにも同じデータを入れて照合に使う。

 受刑者が刑務所内の工場や居室を出入りする都度、機械で指の静脈を読み取り、ICタグ内のデータと合致しているかどうか調べる。食い違えば出入りできない。現段階では、ほかの刑務所への導入は考えていないという。

 指静脈による本人確認は、すでに銀行の現金自動出入機(ATM)やビルの入退室管理などに使われている。生体認証に指静脈を利用する理由について、同省矯正局は「指紋よりも認証にかかる時間が短く、精度も高い」と説明する。

 指静脈情報の採取は「刑事施設・受刑者処遇法」施行規則に盛り込まれた。同法は、受刑者を収容する際に「刑務官は、その者の識別のため必要な限度で、その身体を検査することができる」と定めており、これを受けた施行規則で、具体的な検査方法として(1)顔写真の撮影(2)身体の特徴の見分(3)指紋の採取(4)指静脈の画像情報の採取——を挙げた。(1)〜(3)まではこれまでも収容時に行ってきたが、(4)が新たに加わった。

 これに対し、日弁連は意見書で「今後、国民全体の指静脈採取の突破口ともなる危惧があり、慎重に議論を行う必要がある」などとしている。

http://www.asahi.com/national/update/0826/TKY200608260210.html