悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年08月26日(土) 11時58分

大丈夫? ソニー電池 デル、アップル590万個回収朝日新聞

 米デル製ノート型パソコンに使われているソニー製電池のリコール(回収・無償交換)騒ぎが、米アップルコンピュータ製パソコンにも「飛び火」した。リコール対象のリチウムイオン電池パックは計590万個。ソニーは「デルとアップル以外は大丈夫」と火消しを急ぐ。しかし、本業のエレクトロニクス事業の立て直しを急ぐソニーにとって、異例の大規模となるリコールの痛手は軽くはなさそうだ。

 「まず、パソコンから電池を外して下さい。交換するまではアダプターを電源に使って下さい」

 アップル日本法人のコールセンターでは、25日午前9時のサービス開始から問い合わせの電話が相次ぎ、担当者が説明に追われた。

 代わりの電池が届くまで4〜6週間かかるという。通常の交換の倍ほどの期間だ。アップルは「在庫が足りないため」と説明する。その間は、持ち運びのできるノート型パソコンなのに、電源コンセントにつながないと使えなくなる。

 デルは世界最大手とあって、リコールを発表した14日だけで、世界で10万件もの問い合わせ電話を受けた。交換の申し込みも同日だけで9万件。交換まで何日かかるかについては、日本法人は詳しい説明をしていない。

 一方、ソニーは25日、「今回のリコール対象の電池については、これ以上の回収が行われることはないと考えています」との談話を発表。リコールの「打ち止め感」をにじませようとしている。

 中国レノボや米ヒューレット・パッカード(HP)は自社製パソコンに同種のソニー製電池を使っているが、「リコールの予定はない」と表明した。仮に電池内でショートが起きても、それを感知して充電が止まり、過熱や発火が起きない仕組みが働くためという。ソニーも自社の「バイオ」では「安全設計が施されており、使用に問題はない」と説明している。

 富士通や東芝は、ソニー製電池を使っているものの、リコール対象の電池は含まれていないと確認。NECや松下電器産業などは、ソニー製電池ではないという。

 米国では、パソコンの構造上の違いが安全性の差につながったことを、各メーカーが重視している。電子機器の業界団体IPCは、デル、アップル、HP、レノボの4社を中心に、パソコン・携帯機器向けのリチウムイオン電池の標準設計を検討することになった。

 リチウムイオン電池は、小さくても1回の充電で長くもつのが強み。最近は電子機器向けの需要が急増し、身近な製品に使われる充電池の主役の座をニッケル水素電池から奪った。デジタルカメラや携帯電話、携帯音楽プレーヤーなどに、幅広く搭載されている。

 ただ、品質の管理が難しいうえ、デジタル家電の高機能化で、高い技術力が必要とされる。現在は三洋電機やソニー、松下電池工業など、日本勢が世界シェアの約7割を占めるが、最近は韓国・中国メーカーの追い上げが激しい。

 電池の中に満たされた電解液に、リチウム金属化合物で出来たプラス極と、炭素などを使ったマイナス極が入っており、両極間でリチウムイオンを行き来させて電気を起こす。両極間には、リチウムイオンだけが行き来できる樹脂製の仕切り板があるが、問題の電池では、混入した金属粒子が仕切り板に付着し、両極間で激しい放電が起きたとみられる。

 携帯電話向けのリチウムイオン電池は、電解液の代わりにゲル(半固体)状の「ポリマー」を使うタイプが主流で、今回の問題とは直接の関係はないという。

 ソニーは世界で初めてリチウムイオン電池の製品化に成功。世界で2〜3割のシェアを持ち、電池本体のほとんどを国内で生産している。エレクトロニクス事業の立て直しを急ぐソニーにとって、今回のリコール騒ぎは、4代ぶりの技術系トップとなった中鉢良治社長の掲げる「技術・現場・顧客の重視」を揺るがしかねない問題だ。

 問題の電池を生産したのは、福島県郡山市にある子会社のソニーエナジー・デバイス。切断などの工程で金属粒子が電池内に混入するのを防ぐため、掃除機のような装置で吸引している。ソニーはリコール発表以前から問題を把握し、今年2月までに吸引力を強化していたという。

 「混入があってもパソコンのシステム構成次第では事故には至らない」とソニーは主張するが、入ってはならない物が入ったことは確か。たとえ混入しても不具合が起きないように、デルやアップルと事前に情報を交換しておくことが不十分だった可能性もある。

 業績への影響も小さくない。今回のリコールに伴う費用は07年3月期の予想営業利益の約23%の最大300億円になる見込み。それに加え、リコール対象の電池パックは計590万個で、交換用電池をソニーエナジーだけで生産するには2カ月前後かかるとみられる。他の電池の生産や売り上げにも響きかねない。

 液晶テレビなどが好調でようやく復調してきたソニーにとって、厄介な難題を抱え込んだ形だ。

http://www.asahi.com/digital/av/TKY200608260057.html