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2006年08月24日(木) 06時01分

消費者金融借り手の生保加入、同意徹底へ 金融庁が指導朝日新聞

 消費者金融各社が借り手に生命保険をかけ、死亡した場合の「担保」としている問題で、金融庁は生保各社に対し、借り手が保険加入に同意したかどうかの確認を徹底するよう指導した。生保に加入したこと自体に気付いていない借り手が多く、消費者金融会社による「命が担保」と言わんばかりの強引な取り立てに対する批判が高まっているためだ。生保・消費者金融各社は、借金の申込書と一体になっている生保加入の同意書を別の書面に分けるなどの対応を始める方針だ。

 消費者金融各社がかけるのは「消費者信用団体生命保険」。消費者金融会社が保険料を負担し、借り手が死亡すると、残った借金分を保険会社が消費者金融会社に補償する。補償額の上限は300万円が大半で、契約には被保険者となる借り手の同意が必要だ。

 だが、借金の申込書の裏面などに「保険加入に同意します」といった文章を表示することで、借金を申し込めば自動的に加入にも同意したことにしている消費者金融会社がほとんど。保険の説明は1〜2ミリの細かな字で他の契約内容とともに列挙されるだけの場合も多く、無人契約機の利用時などは、加入に気づくのが難しいのが現状だ。

 そのため金融庁は、保険を提供する生保各社に、契約の中身を十分説明するよう求めた。これに対し、生保・消費者金融各社は今秋、保険の内容を書いた書類を利用者に渡したり、郵送したりする対応を始める。さらに申込書と生命保険への同意書を分けることや、無人契約機では「同意」の操作をしないと借金の契約も完了できないようシステムを改定することも検討している。

 消費者信用団体生命保険をめぐっては「加入を知らない場合が多い」「命を担保にすることが厳しい取り立てを助長する」といった批判がある。今年3月には、借金の取り立てを苦に自殺した女性の遺族が、消費者金融大手のアイフルと生保大手の明治安田生命保険を相手取り、保険加入は無効とする訴えを神戸地裁に起こしている。

 銀行の住宅ローンでも、利用者が生保に加入する手続きがあるが、遺族に家という資産を残すことにつながるうえ、補償額も通常数千万円規模だ。消費者金融の場合は補償額が上限300万円と小さく、借り入れが大きい場合に全額をカバーできないなど違いは大きい。また、「借り手を自殺に追い込む材料になっている」との批判は根強い。金融庁の今回の指導だけでは、こうした問題の全面解消にはつながらないとみられる。

http://www.asahi.com/business/update/0824/043.html