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2006年08月23日(水) 19時01分

えひめリポート:裁判員制度、試してみると 松山地裁で「模擬」 /愛媛毎日新聞

 国民の中から選ばれた裁判員が刑事裁判の一部に参加する裁判員制度が09年5月までに始まる。松山地裁では、裁判官、検察官、弁護士の三者が手続きを検討する模擬裁判が先月11〜13日の3日間にわたって開かれた。多くの課題が残る裁判員制度。模擬裁判を通して制度の課題などについて考えた。【藤田健志】
 ◇法律用語は事前説明必要−−「書類読む時間ない」との声も
 ◇市民の感覚反映
 国民が裁判に参加することで、一般市民の感覚を裁判に反映させることが目的の裁判員制度。裁判員は選挙人名簿の中から無作為に選ばれた6人。3人の裁判官との合議で有罪・無罪を判断する。有罪なら量刑も決める。
 裁判員に選ばれた場合、70歳以上や学生を除けば、重病で療養中や家族を介護中など、特段の事情がない限り辞退することは出来ない。対象事件は殺人や傷害致死などで、05年の松山地裁では全1357件のうち、34件が該当するという。
 ◇公判
 模擬裁判は男性被告が共犯者と共謀して被害者からカンパを名目に酒代を奪い、けがをさせた容疑での強盗致傷事件。被告は公判で無罪を主張した。
 公判では検察側、弁護士側が共に、スライドを上映して説明。途中、弁護士が裁判員に「検察」と「警察」が聞き分けにくいと考え、警察を「ポリス」と言い換えるなど、分かりやすい説明に努めていた。
 その後、証拠を基に被告人の暴行の有無や、共犯者は窃盗に当たるという認識があったかなど三つの争点について評議。裁判員ら9人は実際に、被告と被害者の立っていた場所や距離などを確かめながら、被告は窃盗の認識もなく、暴行までには至らないとして無罪と判断した。
 ◇意見交換会
 評議終了後、裁判員との意見交換会。裁判員からは裁判の進め方について「スライド上映の説明は字が大きくて分かりやすかった」などの意見が出た。
 実際に裁判員になることについては、60代の元会社員の男性は「年休などを会社が快く認めてくれることが必要」と話し、大学4年生の20代の女性は「会社に勤め始めると、裁判員は負担になる」と話した。
 ◇負担軽減へ法整備課題−−同様の題材で異なる判決
 松山地裁の模擬公判では被告と共犯者の供述調書は「任意性に疑いがある」として採用されなかった。しかし同様の題材で模擬裁判を行った高松地裁は調書を採用し、懲役3年の実刑判決、徳島地裁ではいずれも不採用だったが、懲役3年執行猶予5年の、いずれも有罪判決が出ている。
 裁判員の1人は「配られた書類を読む時間がない」と話した。十分な審理が出来ずに評議が進むと誤った判断につながりかねない。事前説明で法律用語の説明をするなどの配慮が必要だ。また裁判員の日給や交通費、有給制度など、負担を軽くする法整備が今後の課題であると感じた。

8月23日朝刊
(毎日新聞) - 8月23日19時1分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060823-00000311-mailo-l38